有畜複合農業における物質循環システム開発のための窒素フローの解析
- レコードナンバー
- 661938
- 論文タイプ
- 学術雑誌論文
- ALIS書誌ID
- ZZ20004489
- NACSIS書誌ID
- AA11611599
- 論文サブタイトル
- 十勝地方の畜産・畑作を事例として
- 本文言語
- ja
- 著者名
- 竹中 洋一 ; 秦 隆夫
- 誌名
- 北海道農業研究センター研究報告
- 別誌名
- 北海道農研研報 ; Res. Bull. Natl. Agric. Res. Cent. for Hokkaido Reg ; Research bulletin of the NARO Hokkaido Agricultural Research Center
- 発行元
- 北海道農業研究センター
- 巻号ページ
- 177号,p.133-149(2002-12)
- ISSN
- 13478117
- 全文表示
- PDF(121KB)
- 抄録
- 大規模畑作と酪農が混在する北海道十勝地域において、家畜糞尿問題の解決と共に農地における地力等の向上が求められている。これらの問題の解決にあたり、畑作と畜産の有機的結合の再構築の必要性がとなえられている。そこで、同地域の中央部に位置する音更町を対象に、町全体や地域、個別農家の窒素循環モデルを構築し、窒素フローを推定することにより、その物質循環上の問題点を明示した。さらに、有畜複合農業の高度化により、その問題の解決を図る導入技術の評価を環境負荷の視点から明らかにした。音更町全体の窒素フローのうち、農地での蓄積+溶脱は年間64kg/haであり、環境負荷として深刻な状況をもたらす量ではないと考えられる。しかし、農地以外の水圏・地圏への廃棄量(18kg/ha)と共に家畜排泄物に由来する部分が大きく、酪農を中心とする家畜排泄物の適正な処理・利用の重要性が確認された。十勝中央地域における代表例として想定した酪農家単独モデルでは、家畜排泄物の農地への負荷が大きく、窒素の農地投入203kg/ha、農地での蓄積+溶脱164kg/ha、水圏・地圏への廃棄47kg/haであった。これに対し、酪農1戸と畑作2戸が麦稈と堆肥の交換により連携する有畜複合農業モデルでは、酪農家単独モデルに比べ、窒素の農地投入は61%、農地での蓄積+溶脱は42%、水圏・地圏への廃棄は34%と改善される。また、酪農家が自給飼料作を1.7倍に拡大し、その1/4にマメ科牧草アルファルファを導入したシミュレーションでは、化学肥料の投入量を23%削減でき、農地での蓄積+溶脱は46%まで低下した。この低下率は、飼料作拡大による家畜密度の低下を上回っており、マメ科牧草導入の窒素循環改善における有効性が再確認された。自給飼料作面積を増やさずに飼養頭数を倍増したシミュレーションでは、水圏・地圏への廃棄が年間101kg/haある上に、農地での蓄積+溶脱が282kg/haと膨大な量となり、酪農経営の永続が困難と考えられる数値である。家畜排泄物処理を改善し、堆肥の75%を系外に移出する設定にすると窒素フローは大幅に改善され、水圏・地圏への廃棄は13kg/ha、農地での蓄積+溶脱は117kg/haとなった。農家の実態調査から算出した音更町内の酪農主体地域の窒素フローでは、堆肥の半量を地域外の農地へ移出しているにもかかわらず、町全体に比べ、水圏・地圏への廃棄は2.5倍(うち畜産廃棄物に起因する部分は4.1倍)と酪農家単独モデルと同水準であった。そこで、同地域を対象に現地導入技術(堆肥調製システム等の家畜排泄物処理技術、スラリーを利用したライ小麦栽培、麦稈のアンモニア処理技術)適用の効果を評価した。これらの技術導入により、水圏・地圏への廃棄は44kg/haから10kg/haへ大幅に減少し、農地での蓄積+溶脱も61kg/haと問題の少ない量とすることができた。導入技術別の窒素フローの改善効果としては、酪農経営における家畜排泄物処理によるものが大部分を占める。
- 引用文献数
- 46
- 登録日
- 2011年3月5日
- 収録データベース
- JASI ; AGROLib