下垂体は,多くの生体機能を制御する各種ホルモンを合成・分泌する主要な内分泌器官である。下垂体組織の恒常性維持は,幹・前駆細胞が最終分化細胞であるホルモン産生細胞を絶えず供給することで保たれている。最近,この下垂体の幹・前駆細胞が存在する場所であるニッチに関する研究が進んでいる。そのような背景の中,我々はコクサッキーウイルス・アデノウイルス受容体(Coxsackievirus and Adenovirus Receptor,CAR)が下垂体ニッチにおいて,幹・前駆細胞の接着・移動や幹細胞性の維持を制御する重要な役割を担っている可能性があることを報告した。本稿では,CARの分子構造の特徴や生体内における生理機能に関するこれまでの研究を概説する。