在来送粉昆虫マイマイツツハナバチの営巣習性および本種をハウスイチゴのポリネーターとして農業利用する試み
- レコードナンバー
- 901161
- 論文タイプ
- 学術雑誌論文
- ALIS書誌ID
- ZZ00014870
- NACSIS書誌ID
- AN0038751X
- 本文言語
- ja
- 著者名
- 香取 郁夫
- 誌名
- 農業および園芸 = Agriculture and horticulture
- 発行元
- 養賢堂
- 巻号ページ
- 91巻・2号,p.232-246(2016-02)
- ISSN
- 03695247
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- PDF(3296KB)
- 抄録
- セイヨウミツバチは農作物のポリネーターとして盛んに利用されているが,いくつかの問題点を抱えている。そこでセイヨウミツバチに代わる在来送粉昆虫として,マイマイツツハナバチを農業利用することを目指し,本研究前半では,マイマイツツハナバチの野外における営巣習性を調査した。調査地内に4種類の巻貝の空き殻を設置し営巣率を調査した結果,マイマイツツハナバチはクチベニマイマイの空き殻を最も選好した。また,新しい殻,欠けや穴のない殻が好まれた。営巣時の周辺環境としては背の高い草地や背の低い草地が好まれた。営巣殻内の次世代の性の配列については,一定の規則性があり,雄率は殻の奥の育房ほど高く,殻口から2,3番目の育房で最も低かった。そして,殻口に最も近い育房で再び雄率が高くなった。本研究後半では,マイマイツツハナバチをハウスイチゴのポリネーターとして用いることを目的として,ハウス内でのイチゴの送粉やハチの繁殖に関わる諸特性を調べた。イチゴの花の1訪花あたり送粉効率をマイマイツツハナバチとセイヨウミツバチで比較したところ,マイマイツツハナバチはセイヨウミツバチと同等かそれ以上であった。また,正常果を生産するために最低限必要な1花あたりの訪花数は,マイマイツツハナバチが14回,セイヨウミツバチが21回と推定された。つまり,マイマイツツハナバチはセイヨウミツバチの2/3の訪花数で済むと推定された。イチゴハウス内に長期間放飼した時,単位時間当たり訪花数はマイマイツツハナバチがセイヨウミツバチの1/3以下であった。にもかかわらず,ハウス内の果実の結実率と正常果率はともにマイマイツツハナバチがセイヨウミツバチを大きく上回った。したがって,マイマイツツハナバチはハウスイチゴのポリネーターとしてとして,農業的に十分利用可能であることを示した。ハウス内に花粉・蜜源植物を十分に入れ本種の生存と繁殖を調査した結果,本種はハウス内で交尾し営巣できた。ただし,ハウス内に放飼した雌成虫の定着率は低く,平均活動日数も十分に長いとは言えない。ハウス内環境を整えて再調査する必要がある。本種の本来の巣材としての天然のマイマイの空き殻は希少なため,代替巣材として3Dプリンターを用いてプラスチック製の人工殻を作成した。ハウス内に仕掛けた人工殻はマイマイツツハナバチに十分営巣利用された。その営巣選好性はクチベニマイマイの新しい空き殻とほぼ同等であり,古い空き殻よりも高かった。本研究では,ハウスイチゴのポリネーターとしてマイマイツツハナバチを用いることを目指し実験を行った。その結果,ハチの営巣習性,ハウス内でのイチゴの送粉,ハチのハウス内繁殖,代替巣材の開発などいくつかの成果を上げた。一方,本種を実用レベルまで引き上げるには,ハウス内での花粉・蜜源確保と十分な次世代の繁殖,ハチの定着率向上,低価格人工殻作成などいくつかの課題が残された。
- 引用文献数
- 17
- 登録日
- 2016年7月11日
- 収録データベース
- AGROLib ; JASI