ミルクオリゴ糖の機能研究における最近の進歩(3)
- レコードナンバー
- 922227
- 論文タイプ
- 学術雑誌論文
- ALIS書誌ID
- ZZ20039427
- NACSIS書誌ID
- AA12509099
- 論文サブタイトル
- 脳機能改善効果,吸収および動態,腸内細菌叢の調整
- 論文タイトル(英)
- Advanced studies of the biological functions of milk oligosaccharides (3)
- 本文言語
- ja
- 著者名
- 浦島 匡 ; 福田 健二
- 誌名
- 応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 = Bulletin of applied glycoscience
- 別誌名
- 日本応用糖質科学会誌応用糖質科学
- 発行元
- 日本応用糖質科学会
- 巻号ページ
- 8巻・2号,p.155-163(2018-05)
- ISSN
- 21856427
- 全文表示
- PDF(964KB)
- 抄録
- 人乳には常乳で12~13g/Lの濃度でミルクオリゴ糖が含まれている。ヒトミルクオリゴ糖(HMOs)は若干の例外を除いて,還元末端にラクトース(Gal(β1-4)Glc)を含み,それにガラクトース(Gal),N-アセチルグルコサミン(GlcNAc),フコース(Fuc),N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)が結合した化学構造を有する。人乳には240種類ものHMOsの存在が報告されているが,現在までに162の化学構造が決定されている。それは母乳栄養児の小腸内で大部分は消化・吸収を受けないで大腸に到達し,そこで有用性腸内細菌の増殖・定着を促進する,病原性細菌・ウイルスが宿主腸管上皮に付着するのを防止する,腸管バリア機能を持つ,壊死性腸炎を予防する,などの機能を発揮する。また一部のHMOsは吸収され,血液とともに体内循環する過程で,免疫を調整し抗炎症性を発揮する,脳神経系の成分の合成材料として利用される,などの機能も報告されている。HMOsと同一の化学構造を有するオリゴ糖を産業レベルで利用するためには,大量に合成する技術がネックとなっていたが,近年少数のHMOsのグラム単位での合成方法が開発された。それに伴って,合成HMOsを使用したin vivoでの機能探索研究を行った論文が多数報告されるようになり,糖質科学の中でもっとも活発な研究領域になっている。合成2'-フコシルラクトース(2'-FL)を添加した育児用調合乳の製造販売も開始され,今後HMOs関連糖質を使用した食品素材や医薬品素材の開発によって新たな産業が立ち上がってくることが予想される。本総説では,近年報告されたHMOsの機能研究の中でも,脳神経機能への刺激,腸管での吸収と体内動態,腸内細菌叢の調整に関わる例とともに,少数のHMOsを添加した人工調合乳を摂取させたヒト乳児への介入試験例を紹介する。その中で,HMOsの機能研究や利用に関わる将来を展望する。
- 引用文献数
- 37
- 登録日
- 2018年8月22日
- 収録データベース
- JASI ; AGROLib