ギョウジャニンニクに発生した新病害、白色疫病とすすかび病(新称)

タイトル
ギョウジャニンニクに発生した新病害、白色疫病とすすかび病(新称)
要約
ギョウジャニンニクで2種の新病害の発生が確認された。1つは融雪後3月下旬頃から発生し、葉に白色の比較的大きな病斑を形成するPhytophthora porriによる白色疫病であり、2つ目は5月上旬より発生し、罹病部はしだいにすす状の症状を示すCercospora (Mycovellosiella) victorialisによるすすかび病で、いずれも株養成栽培圃場での発生が多い。
キーワード
ギョウジャニンニク、新病害、Phytophthora porriCercospora (Mycovellosiella) victorialis
担当機関
富山県農業技術センター 農業試験場 病理昆虫課
連絡先
0764-29-2111
区分(部会名)
北陸農業
専門
作物病害
研究対象
葉菜類
分類
指導
背景・ねらい
ギョウジャニンニクは深山に分布するユリ科の球根性多年生草で、若い葉と鱗茎を食し、古くから滋養強壮作用のある山菜として利用されている。10年程前から北海道や山形県で栽培法が検討され、最近では医薬用原料や機能性食品としても注目されている。富山県でも数年前から、山間地の振興作物として養成栽培試験を行っている。ところが、栽培上障害となる病害が発生していることからその原因究明を行い、防除対策に資する。
成果の内容・特徴
  1. 白色疫病は融雪後3月下旬頃から発生する。葉に白色の比較的大きな病斑を形成し、病斑は拡大するとその後急激に黄化する。病原菌は遊走子のうと有性器官を形成する。接種でタマネギのほか、ネギ、ニラに対して強い病原性が認められる。本病菌は低温性の疫病菌で15~20℃に菌糸の生育適温がある。菌の形態、温度生理及び寄生性等から本病菌をPhytophthora porriと同定する(図1-a、b及び表1)。
  2. すすかび病は5月上旬より発生が認められる。最初は比較的小さな直径3~5mmの黄褐色円形の病斑を形成する。病斑が拡大すると葉は黄化し始め、すす状の様相を呈して急激に枯れる。分生子は分生子梗上に連生せず、叢生する。25℃付近に菌糸の生育適温があり、隔壁数により分生子の大きさにはかなりの変動幅がある。形態的特徴から、古くシベリアの本植物上で寄生が報告されているCercospora victorialisとほぼ一致する(図2-a、b及び表2)。本病菌は現在の分類ではCercospora属になく、その特徴からMycovellosiella属に転属する必要がある。Cercospora (Mycovellosiella) vic-torialisは日本新産の菌である。
  3. いずれも、わが国のギョウジャニンニク上では未記録の病害である。
成果の活用面・留意点
  1. タマネギより分離された白色疫病菌はギョウジャニンニクに対して強い病原性を示す(デ-タ略)ことから、隣接圃場では注意が必要である。
  2. 白色疫病は土壌伝染し、多雨で発生が多くなる。一方すすかび病は病斑上に多量の胞子を形成し、周辺株へ飛散して蔓延する。排水や病葉処分など、それぞれ耕種的な対策を講じる必要がある。
  3. 現在のところ、ギョウジャニンニクに対する登録農薬はない。それぞれの病原菌は類縁性から白色疫病菌に対してはタマネギやラッキョウ白色疫病の、またすすかび病菌に対してはナスすすかび病に対する登録剤の適用拡大が期待される。
具体的データ
図1
図2
表1
表2
研究課題名
ギョウジャニンニクに発生する病害の発生生態と防除
予算区分
県単
研究期間
1997~1997
発表論文
ギョウジャニンニクに発生した白色疫病(新称)とすすかび病(新称)、日本植物病理学会報、第63巻6号:525(講演要旨)、1997。
発行年度
1997
収録データベース