土壌微生物バイオマス窒素測定への紫外吸光光度法の適用とニンヒドリン法の問題点

土壌微生物バイオマス窒素測定への紫外吸光光度法の適用とニンヒドリン法の問題点

タイトル土壌微生物バイオマス窒素測定への紫外吸光光度法の適用とニンヒドリン法の問題点
要約くん蒸抽出法による土壌微生物バイオマス窒素の測定には、アルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム分解液を用いた紫外吸光光度法が精度高く、ケルダール法よりも簡便に適用できる。従来のニンヒドリン発色法は肥料由来の硝酸態窒素が多い土壌には適用できない。
キーワード微生物バイオマス窒素、くん蒸抽出、紫外吸光光度法、ニンヒドリン法、硝酸態窒素
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター 環境保全型野菜研究チーム
連絡先0773-42-0109
区分(部会名)近畿中国四国農業
区分(部会名)共通基盤
分類研究、参考
背景・ねらいクロロホルムくん蒸抽出法による土壌微生物バイオマス窒素測定の従来法では、抽出液中に溶けている窒素量を、ニンヒドリン発色法やケルダール法などの方法で測定し、そのくん蒸土壌における測定値から、非くん蒸土壌の測定値を差引いた値(En)に測定法特有の換算係数を乗じて算出する。ケルダール法は煩雑であるとともに高濃度の酸やアルカリ試薬を使用せねばならない。そこで、河川水などの窒素の分析に用いられているアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム分解法を用い、この分解液中の硝酸態窒素を紫外吸収によって定量する方法(紫外吸光光度法)を開発する。同時にニンヒドリン発色法の問題点を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 開発した紫外吸光光度法は、抽出液をポリカーボネイト製のバイアルに入れ、同量の酸化液(5%ペルオキソ二硫酸カリウム、1.5%水酸化ナトリウム、3%ホウ酸を含む)を入れた後、オートクレーブで121℃、30分間加熱分解し、冷却後に210nmの紫外吸光度を測定する簡便な手法である。
  2. 紫外領域では各種成分の吸光があるので、これらが硝酸態窒素の吸光を妨害する可能性があるが、本分析条件における抽出液の分解液については、0μMで若干の吸収が見られるものの、定量に問題となる程度の妨害はない(図1)。
  3. 硝酸態窒素の高感度定量に適する波長は210 nmであり、検量線は硝酸カリもしくはロイシンを用いて作成する。これにより最終濃度300μMまで定量できる(図1)。
  4. 紫外吸光光度法による可溶性全窒素の分析値は、ケルダール法と一致するとされている全窒素有機炭素分析計による値と高い相関を示し、ほぼ1:1の対応関係をしめす(図2)が、これから算出したEn値は、全窒素有機炭素分析計による値よりもやや低い(図3)。
  5. ニンヒドリン発色法は、くん蒸の分析値の方が、非くん蒸の分析値よりも低い場合があるとともに、バイオマス窒素算出のための一定の換算値が求められないなどの問題がある(図4)。ニンヒドリン発色法を適用できない土壌は、もともとの土壌中に25mg/kg以上の硝酸態窒素が含まれている場合が多いが、この含量は野菜畑土壌では通常の含量である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 全窒素有機炭素分析計が設置されていない環境条件において、くん蒸抽出法による土壌微生物バイオマス窒素の測定に活用する。また、細粒褐色低地土畑土壌における結果である。
  2. 分析機器としては、210nmの紫外領域を測定できる分光光度計が必要である。また、ペルオキソ二硫酸カリウムは窒素・リン測定用、水酸化ナトリウムは窒素測定用を用いる。
  3. 紫外吸光光度法によって分析したEn値からバイオマス窒素を算出するには、換算係数2.9を用いる。この係数は、全窒素を分析した場合に用いられている換算係数2.22に図3の回帰式の値1.29を乗じて補正した値である。
  4. ニンヒドリン発色法は、硝酸態窒素が25mg/kg以下の土壌に適用を限定する。
  5. 本紫外吸光光度法において、分解液が着色する場合はろ過などを行う。
具体的データ
図1 硝酸態窒素の紫外吸光スペクトル
図2 可溶性全窒素の測定における紫外吸光光度法と全窒素有機炭素分析法との比較
図3 En値の測定における紫外吸光光度法と全窒素有機炭素分析法との比較
図4 En値の測定におけるニンヒドリン発色法と紫外吸光光度法との比較
予算区分基盤研究費、eDNA
研究期間2006~2007
研究担当者堀 兼明、小森冴香、宮丸直子(沖縄農研セ)、須賀有子、福永亜矢子、池田順一
発行年度2007
収録データベース研究成果情報

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