ハードルテクノロジーの活用による食品加害細菌制御

ハードルテクノロジーの活用による食品加害細菌制御

タイトルハードルテクノロジーの活用による食品加害細菌制御
要約酸性化亜塩素酸水を使用することで、生食野菜表面上の腐敗細菌や食中毒原因菌を1/100-1/1000 以下に減少させることができる。この技術は白菜浅漬け製造にも応用できる。
キーワード浅漬け・殺菌・酸性化亜塩素酸水(ASC)
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 企画調整部 食品衛生対策チーム
連絡先029-838-8067 / inatu@nfri.affrc.go.jp / inatu@nfri.affrc.go.jp
区分(部会名)食品
分類参考
背景・ねらい加熱処理は効果的な食品微生物の制御手段であるが、カット野菜や浅漬け類には使用することができない。そのため、原料に付着した微生物を洗浄殺菌するとともに、低温保存により増殖を抑えることで食中毒リスクの低減が図られる。ハードルテクノロジーとは、製品劣化を引き起こさない程度のマイルドな処理を複数組み合わせることで、食品中の腐敗細菌や病原菌の増殖を抑制する技術である。酸性化亜塩素酸(ASC)水は、食品添加物である亜塩素酸ナトリウムと食用が認められる(有機)酸の混合溶液である。混合によって発生する亜塩素酸の殺菌力と、酸によるpH低下が相乗的に働くことで、強い殺菌効果を発揮する。次亜塩素酸水には有機物との反応による活性低下や有機塩素化合物の生成という問題があるが、ASCにはその欠点が少ないというメリットがあり、米国FDAは畜肉(製品)や野菜・果実の表面殺菌に使用を 認めている。
成果の内容・特徴
  1. 0.5g/l(使用基準の上限)の亜塩素酸ナトリウムおよび1g/lクエン酸を含むASC水は、白菜表面 上に付着させた病原大腸菌O157:H7株に対し、有効塩素濃度 0.1g/l(100ppm)の次亜塩素酸水と同程度殺菌力(2LogCFU/g低下)を示した(表1)。クエン酸濃度を上昇させることで、その効果は約10倍増加した。pHが同じであれば、酸の種類は殺菌力に大きく影響を与えなかった。洗浄処理温度上昇(50℃)は殺菌力の向上をもたらすが、同時に明らかな色調・硬度の変化を引き起こした。低温(4℃)・室温(25℃)処理の間には殺菌力の違いはなく、品質劣化もみられなかった。
  2. 一般細菌・大腸菌群あるいはその他の食中毒原因菌もASC洗浄処理により2~3LogCFU/g程度減少させることが可能であった。処理後の10℃貯蔵により病原菌大腸菌やサルモネラ・黄色ブドウ球菌は増殖しなかったが、一般細菌・大腸菌群(図2)およびリステリア(図3)は増殖した。
  3. ASC 洗浄白菜を原料とする白菜浅漬けについて食味試験およびカラーメータによる測定を行った結果、洗浄処理が製品の色調・味・香りおよび食感に影響を与えないことが確認された。
成果の活用面・留意点亜塩素酸ナトリウムを殺菌目的で使用する場合は、食品衛生法上の規定により、最大使用濃度規制と対象食品の限定(生食野菜・果実および卵殻)とがある点に注意が必要である。次亜塩素酸ナトリウムと同様に、使用後に分解・除去が義務付けられているが、製造助剤扱いとされるために食品添加物表示は免除される。原料の表面殺菌のみでは、残存した一般細菌・大腸菌群の一部あるいはリステリアなどの低温増殖性細菌が低温保存中に増加するために、長期間にわたる微生物制御のためには、他の食品添加物の併用も必要である。なお、この試験はラボスケールで実施したものなので、実プラントで使用するにあたっては、別途殺菌効果を評価する必要がある。
具体的データ
表1
図2
図3
予算区分食品の安全性確保のための研究開発(食品総合)
研究期間2002~2004
研究担当者稲津康弘、川本伸一、Md Latiful Bari、一色賢司、川崎 晋
発表論文1)Inatsu et al., J.Food Prot. 68, in press (2005)
2)Inatsu et al., J.Food Prot. 68, 251-255(2005)
3)稲津ほか、食品工業、47、46-52(2004)
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

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