高性能な木質バイオマス燃料「ハイパー木質ペレット」を製造する

高性能な木質バイオマス燃料「ハイパー木質ペレット」を製造する

タイトル高性能な木質バイオマス燃料「ハイパー木質ペレット」を製造する
要約木質ペレットの製造工程に熱処理を導入することで、従来品よりもたくさんのエネルギー(発熱量)が生まれ、かつ水に強い高性能木質ペレット燃料「ハイパー木質ペレット」を作ることができました。
担当機関(独)森林総合研究所 加工技術研究領域
(独)森林総合研究所 木材特性研究領域
(独)森林総合研究所 木材改質研究領域
(独)森林総合研究所 立地環境研究領域
(独)森林総合研究所 研究コーディネータ
区分(部会名)森林
背景・ねらい木質ペレットは木くずを圧縮して固めた木質バイオマス燃料として、木材チップに比べてたくさんのエネルギー(発熱量)をとれる長所があります。しかし欠点として、発熱量が灯油や石炭より低いことや、水に弱いなどの欠点があります。こうした欠点を改良すべく、熱処理によるに改良型ペレット(ハイパー木質ペレット)の試作を行いました。その結果、発熱量を従来品より約3割向上できました。また、ペレット製造時の粉砕エネルギーを最大9割削減できたほか、ペレット着火性には問題なく、水に強くなることも分かりました。
成果の内容・特徴

背景・目的

木質ペレット(図1)は木くずを円柱状に圧縮して固めた燃料で、ストーブやボイラー用として需要が伸びています。この特徴として、木材チップに比べてエネルギー密度(体積当たりの発熱量)が高いこと、取り扱いしやすく輸送に便利なこと、火力が一定(水分が一定)なことなどがあります。しかし欠点もあり、例えば発熱量が灯油や石炭の半分程度と低いこと、水に弱いこと(水や湿気で簡単に崩れる)があります。こうした欠点を改良すべく、本研究では熱をかけること(熱処理)に着目しました。古くから木材に1,000℃近くの熱をかけて木炭(炭化)にすることで、発熱量を高められることが知られています。しかし、完全な炭にしてしまうと木材の持つ発熱量の2/3は外に逃げてしまいます。そこで、お茶やコーヒー豆を「焙じる」イメージで「ほどほどに熱をかけて」改良型のペレットを作ることにしました。

改良ペレットの性能

針葉樹のスギと広葉樹のコナラを原料に、原料チップまたはあらかじめ木質ペレットにしたものを300℃前後に熱処理しました。すると、熱処理で外へ逃げる分をできるだけ少なくしながら、製品の発熱量を従来品に比べて最大約3割向上させることができました(図2)。また、ペレット原料を熱処理すると“もろく”なることから、ペレットを作る際の粉砕エネルギーを最大9割減らせることがわかりました(図2)。さらに、改良型ペレットは従来品よりも水に強くなるほか(図3)、従来品と同様の燃えやすさ(着火性)を示すこともわかりました。この高性能なペレットを「ハイパー木質ペレット」(図4)と名付け、現在、製品改良や燃焼試験を重ねる一方、燃えた後の灰の肥料成分の評価を進めています。ハイパー木質ペレットは、従来のペレットストーブに数割混ぜても問題なく使用できることがわかっていますが、今後、ハイパー木質ペレットを100%使用できるよう、開発を進めています。

波及効果

ハイパー木質ペレットをペレットストーブやボイラーに使うことにより、保管に優れるだけでなく、従来品よりペレットの消費量を少なくできるメリットがあります。
また最近、木質ペレットを発電用燃料(石炭火力発電所での混焼)として大規模に使う動きがあります。我が国で石炭は電力の1/4を担うほど大量に使われていて、仮に全ての石炭火力発電所でペレットが使われるようになると、600万トン程度の需要があると考えられています。ハイパー木質ペレットは発熱量に優れるだけでなく、保管性も良いことから、今後の利用拡大が期待されます。

本研究は、予算区分:委託費(農林水産省実用技術開発事業)、課題名:次世代高カロリー木質ペレット燃料「ハイパー木質ペレット」の製造・利用技術の開発の成果です。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
研究担当者吉田 貴紘(加工技術研究領域)、黒田 克史(木材特性研究領域)、久保島 吉貴(木材特性研究領域)、上川 大輔(木材改質研究領域)、金子 真司(立地環境研究領域)、三浦 覚(立地環境研究領域)、古澤 仁美(立地環境研究領域)、佐野 哲也(立地環境研究領域(特別研究員))、大原 誠資(研究コーディネータ)、野村 崇(福井県総合グリーンセンター)、和多田 浩樹(福井県総合グリーンセンター)
発行年度2011
収録データベース研究成果情報

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