木質バイオマスの利用で化石燃料を20%カット

木質バイオマスの利用で化石燃料を20%カット

タイトル木質バイオマスの利用で化石燃料を20%カット
要約地域内の木質バイオマスの供給可能量と需要量を調べ、プラント実証から得られたデータをもとに、バイオマス資源を有効に活用でき、化石エネルギーを20%削減できるシナリオを作成しました。
担当機関(独)森林総合研究所 林業工学研究領域
(独)森林総合研究所 加工技術研究領域
(独)森林総合研究所 林業経営・政策研究領域
(独)森林総合研究所 森林管理研究領域
(独)森林総合研究所 企画部
区分(部会名)森林
背景・ねらいバイオマスを持続的に利活用するためには、生産から利用まで、各段階を有機的につなげ、地域にとって経済性のあるシステムを作る必要があります。そこで、岐阜県高山市をモデルとして、バイオマス供給システムの開発と木質バイオマスを燃料としたガス化プラントの実証試験を行いました。これらの結果をもとに、林地残材と工場で発生する樹皮を活用することによって、重油ボイラーの重油消費量を23.6%削減、電気消費量を12.4%削減できるシナリオを作成しました。
成果の内容・特徴バイオマスを持続的に利活用するためには、生産、収集、変換、利用の各段階を有機的につなげ、地域の活性化に貢献し、地域全体として経済性のあるシステムを作る必要があります。そこで、岐阜県高山市をモデルとして、バイオマス供給システムの開発と木質バイオマスを燃料としたガス化プラントの実証試験を行い、化石エネルギー消費量の削減効果を明らかにしました。

木質バイオマス供給システム

林地残材等の木質バイオマスを、低コストで収集・運搬し、安定して供給できるバイオマス供給システムを開発しました。まず、利用可能なバイオマス資源量を計算するために、どこに、どれだけのバイオマスが発生するのかを把握しました。次に、このバイオマスをトラックで運んだ時の走行速度や時間、輸送経路などを解析し、コストを計算しました。例えば、トラック走行時間が60分圏内の森林面積は22千haであり、バイオマス単価は4,000円/tonであるのに対し、140分圏内であれば、単価は7,000円/tonかかりますが、面積は45千haに広がります(図1)。

需要量の把握と可能性の評価

地域の155事業体に対してアンケート調査を行い、熱出力100kW以上の機器導入可能な事業体が20カ所あることが分かりました。このうち、導入の意思を示した8事業体について調べた結果、4事業体でチップボイラー導入が経済的に可能であることが分かりました。さらに、この地域のバイオマス供給可能量を試算したところ、4事業体の年間消費量をすべてまかなうことはできず、実際にチップボイラーを導入可能であるのは、2つの事業体であることが明らかとなりました。

ガス化プラントの実証と20%削減シナリオ

樹皮と林地残材を原料として、熱と電気を作ることができるガス化プラント(図2)の実証試験を行いました。その結果をもとに、ガス化プラントの年間稼働日数を275日、24時間連続運転を行い、原料の処理能力を50kg/時としてエネルギー及び経費の収支を試算しました(図3)。エネルギーフローでみると、ガス化プラントで発生する電気は198MWh、熱は1,236GJであり、林地残材等の破砕・貯蔵用としての電気66MWhと、木材乾燥機や製材ライン用としての電気132MWh、熱1,236GJとに分配使用することにします。これにより、重油ボイラーにおける重油消費量は134kLから102kLとなり、23.6%の化石エネルギー削減が可能となります。また工場全体での電力消費については、1,600MWhから1,402MWhとなり、12.4%の電力消費削減が可能となります。経費の収支では、収入が約600万円増加することが期待されます。

なお、本研究は、「予算区分:農林水産省委託プロジェクト研究「地域活性化のためのバイオマス利用技術の開発」、課題名:バイオマス利用モデルの構築・実証・評価」による成果です。
具体的データ
図1
図2
図3
研究担当者陣川 雅樹(林業工学研究領域)、伊神 裕司(加工技術研究領域)、藤本 清彦(加工技術研究領域)、吉田 貴紘(加工技術研究領域)、久保山 裕史(林業経営・政策研究領域)、西園 朋広(森林管理研究領域)、高野 勉(企画部)、古川 邦明(岐阜県森林研究所)、臼田 寿生(岐阜県森林研究所)、西山 明雄(中外炉工業)、田中 秀直(中外炉工業)、福島 政弘(中外炉工業)、笹内 謙一(中外炉工業)
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p24-25.pdf
収録データベース研究成果情報

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