イネ科バイオマス資源作物における土壌からの放射性セシウムの移行

イネ科バイオマス資源作物における土壌からの放射性セシウムの移行

タイトルイネ科バイオマス資源作物における土壌からの放射性セシウムの移行
要約放射性降下物が沈着した圃場でバイオマス資源作物を不耕起栽培し、収穫物の放射能を測定したところ、供試したイネ科6草種・17品種の植物生重当たりで算出した移行係数は、0.022~0.083である。
キーワード資源作物、セシウム、バイオマス、放射性降下物
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 飼料作物研究領域
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 畜産草地研究領域
連絡先029-838-8611
分類研究成果情報
背景・ねらい放射性降下物による土壌汚染が生じた地域では、食用作物や飼料作物生産の再開に先立ってバイオマス資源作物を栽培することで農業生産の早期再開を行うことも選択肢の一つである。しかし、バイオマス資源作物では実用栽培に関する知見が少なく、収穫物における放射性物質含有量に関する情報がない。畜産草地研究所那須研究拠点では、東京電力福島第一原子力発電所事故によって栃木県北部の中では高い空間線量率が観測されているので、事故当年における基礎的情報として、拠点内試験圃場においてバイオマス資源作物を栽培し、セシウム-134(134Cs)及びセシウム-137(137Cs)による放射能と移行係数を調査する。
成果の内容・特徴
  1. NPK各9kg/10aを施用して栽培し、刈取り後表面洗浄せずに細断・乾燥したイネ科バイオマス資源作物の全草混合サンプルの生重当たり放射能は、刈取日の減衰補正値で134Csが16.2~64.7Bq/kg、137Csが19.1~65.9Bq/kgである(表1)。
  2. NPK各6kg/10aを施用して栽培し、表面洗浄せずに細断・乾燥した結実初期のヒマワリの全草混合サンプルの生重当たり放射能は、刈取日の減衰補正値で134Csが117.9Bq/kg、137Csが135.6Bq/kgである(表1)。
  3. 定植時に圃場内3カ所で地表から0.15mの深さまで採取した土壌の乾土当たり放射能平均値は、採取日の減衰補正値で134Csが750.7Bq/kg、137Csが822.5Bq/kgであり、交換性カリウムは10.8mg/100gと低い。
  4. 植物体の放射能及び土壌の放射能から求めたイネ科バイオマス作物における移行係数は、植物生重当たり、134Csと137Csの合計で0.022~0.083である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 放射性降下物による土壌汚染地帯でバイオマス資源作物を栽培するに当たり、収穫物に含有される放射性物質の参考情報として活用できる。
  2. 放射性物質含有量や移行係数は、放射性降下物沈着後の時間、土壌の性質、栽植前の耕耘の有無、施肥条件、植物体の表面洗浄の有無等によって大きく変動するため、条件設定に留意すべきである。
  3. 本成果では刈取後の植物体の表面洗浄をしていないため、放射能・移行係数には根からの移行の他に表面付着も含む可能性がある。
具体的データ
表1
表2
予算区分バイオマス大課題重点事項研究強化費
研究期間2011~2011
研究担当者小林 真、安藤象太郎、松波寿弥、我有 満
発行年度2011
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2011/220a0_10_03.html
収録データベース研究成果情報

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