バイオマス活用のライフサイクルでの経済性・エネルギー収支の評価法

バイオマス活用のライフサイクルでの経済性・エネルギー収支の評価法

タイトルバイオマス活用のライフサイクルでの経済性・エネルギー収支の評価法
要約市町村等のバイオマス活用推進計画と計画前の現状をシナリオとして表し、バイオマス活用の各段階における経済性(コストと収入)、エネルギー収支(エネルギーの消費と生産)をライフサイクルを通して算出して比較することにより、計画の妥当性を判断できる。
キーワードバイオマス活用推進計画、ライフサイクル、シナリオ、経済性、エネルギー収支
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 資源循環工学研究領域
連絡先029-838-7507
分類主要普及成果
背景・ねらいバイオマス活用推進基本計画に基づき策定が求められている市町村等のバイオマス活用推進計画では、バイオマス活用の進捗状況、エネルギーやバイオマス変換製品の地域内自給率などの取組効果を把握する必要がある。新たなバイオマス活用の取組により経済性やエネルギー収支が現状よりも改善されることが望まれるが、バイオマスの収集輸送、変換、利用の各段階においてコストやエネルギー消費を伴う。本研究では、バイオマス活用推進計画の妥当性を判断し計画策定を支援するため、想定する技術や物質の移動をシナリオとして表し、バイオマス活用の各段階におけるコストと収入、エネルギー消費とエネルギー生産をライフサイクルを通して算出して、計画と現状とを比較評価する方法を示す。
成果の内容・特徴
  1. 収集輸送、変換等の段階別に、各段階内のライフサイクルステージ(建設・製造-運営-廃棄)も考慮し、コスト・収入、エネルギー消費(直接・間接)・エネルギー生産を段階別に算出することにより、各段階を担う主体運営における収益性や技術的課題を明らかにできるとともに、地域のバイオマス活用システム全体での物質やエネルギー・製品の需給バランスを把握することができる。表1に算出項目と必要なデータを示す。
  2. 「年」を単位として評価項目の「経済性(収入-コスト)」と「エネルギー収支(エネルギー生産-消費)」を算出し、現状と比較して計画では、経済性とエネルギー収支がどれくらい改善されたかを各々の側面から評価する。
  3. 現状と計画で「変わらない」条件については評価を省いて手法の簡便化を図る。
  4. 評価のためのシナリオ作成方法や評価項目の算出方法は発表論文等に解説されている。都市近郊農畜産業地域を対象に想定される5対のシナリオの例を示す(表2)。
  5. シナリオ例について各段階での経済性(収入-コスト)を算出した結果(図1)、ほぼ全てのシナリオで負の値となるが、家畜ふん尿の活用と耕畜連携(シナリオ1、2)、食品廃棄物の有効利用(同3、4)では、計画での収支は改善されるか現状とほぼ同じである。食品廃棄物の有効利用(シナリオ4)ではコスト以上の収入が得られる。水田の有効利用(同5)はバイオマス生産と変換の段階での改善が必要であることがわかる。
  6. シナリオ例について各段階でのエネルギー収支(エネルギー生産-消費)を算出した結果(図2)、シナリオ5を除くすべての計画で、現状に比べてエネルギー収支が改善されることがわかる。シナリオ5の計画は、設定条件下では妥当ではないと判断される。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:市町村等でバイオマス関連施策の立案・評価を行う担当者等
  2. 普及予定地域等:市町村バイオマス活用推進計画を策定する市町村(2020年に600市町村での策定が国の目標で、2012年3月時点では7市町・6県で策定済み)、計画への移行が求められているバイオマスタウン構想(318地区が公表)策定済み市町村。
  3. その他:計画立案・評価のためのデータ収集方法と評価方法を記載した市町村担当者向けマニュアルを作成して配付している。農工研ホームページからも入手できる。
具体的データ
表1
表2
図1
図2
予算区分委託プロ(バイオマス)
研究期間2007~2011
研究担当者柚山義人、清水夏樹、中村真人、山岡 賢
発表論文1)清水ら(2012a)農工研技報、212:53-96
2)清水ら(2012b)農工研技報、212:97-126
3)清水ら(2010)農村計画学会誌、28巻論文特集号:243-248
発行年度2011
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2011/220e0_01_40.html
収録データベース研究成果情報

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