小千谷における降雪および積雪の実態と桑の発芽について

小千谷における降雪および積雪の実態と桑の発芽について

レコードナンバー73959論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20008669NACSIS書誌IDAN00366054
著者名岡部 融
宮山 健也
書誌名蠶絲試驗場彙報
別誌名Technical bulletin of Sericultural Experiment Station, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries
Technical bulletin of Sericultural Experiment Station
蚕糸試験場彙報
発行元農林省蠶絲試驗場
巻号,ページ97号, p.1-96(1973-03)ISSN03853594
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抄録小千谷市(桑育種第2研究室)における大正10年以降50ヵ年の気象資料,ならびに昭和31~45年の桑の発芽調査資料をもとに,降雪と積雪の実態,積雪と消雪の関係,消雪と桑の発芽の関係などについて取りまとめた.資料は積雪地として低緯度15)の小千谷市平坦地桑園におけるものであって,雪量や降・積雪期間等については緯度・標高の異なる地域のそれと相違が生ずるであろう.しかし,年次的,時期的変化傾向や事象間の関係などについては,積雪地としての共通点もみいだせると思われる.以下に集約と考察を行う.1.降雪および積雪について 降雪期はおよそ12~3月の4ヶ月間で,月別降雪量は1月が最も多く,2月,12月とこれに次いでいる(第3図,第4図),そして,1日に多量の雪が降る度数は1月と12月に多く,極端な大雪のひん度は12月下旬~1月上旬に高い(第3図),また,降雪はしばしば数日間連続することが多く,その最高は27日(1月)にも及び,その期間に多量の降雪をもたらす(第2表).年次内の総降雪量は小千谷市で1,673~441cmの範囲を示しているように,年によって大きく変動しているが,多降雪年次には降雪期の気温が低く,降雨が少なく,地下水位が低い傾向があり,少降雪年次にはこれと反対の現象がみられる(第4図).これらの現象は冬型気圧配置によって流入して来る寒気4)の冷たさによって起こる結果と推測され,寒気が暖かい年には降雪が少なくて雨が多くなり,融雪が進む15)ため地下水位も高くなるものと思われる.積雪量は降雪の多い年には多く,積雪期間ものこのような年には長い.小千谷市における根雪月日は12月中旬以降が多いが,根雪期間は4月中旬までの約4ヶ月間で,積雪量は12月,1月,2月と増加し,2月中旬をピークとして3月,4月と減少するのが平年で(第7図)ある.そして,積雪量には年次的に大きな変動がみられるが,寝雪月日が早くて12月中に1m以上の積雪となる年次には積雪量が多くなり,反対に根雪月日がおそく,1月初旬になっても積雪が僅少な年には積雪量が極めて少ない(第5図,第6図)傾向がある.また,積雪量の50ヵ年間の推移をみると,7年前後の多雪年の次に2~3年の少雪年が続く傾向にあり,9~10年の周期性も考えられる(第5図).2.積雪と消雪との関係 小千谷市の消雪月日は平均4月13日であるが,年によって大きく変動している(第5図).最深積雪量および3月1日,3月11日,3月21日の積雪量と消雪日との関係をみると,それらの間にはそれぞれ0.806,0.897,0.905,0.910の相関々係が認められ(第8図),積雪の多い年ほど消雪がおくれ,寝雪期間が延長15)することが知られた.また,3月以降の平均減雪日量15)は約8cmであって,3月積雪量から消雪日が予知出来ると思われる。融雪は幅射熱,空気熱伝導,降雨などによって誘起され,3月から本格的になるといわれているが15,17),最深積雪の時期にはまだ降雪があり,3月もおそくなるほど降雪は減少する(第3図,第4図)から,積雪量と消雪日との相関は遅い時期ほど高くなるのであろう.なお,3月以降の減雪日量の8cmは高田市における場合15)に近いとみられる.しかし,融雪量変動には気温が一番関係深いといわれる17)から,この数値は寒地や暖地で変るものと思われる.3.消雪の早晩と桑の発芽との関係 消雪日と発芽期日との間には高い相関々係があり,消雪が遅いほど桑の発芽はおくれる.桑の発芽は3月1日~4月15日の平均気温に最も関係深いとされている8)が,積雪地においては多量の残雪が季節的な気温の上昇をおくらせる9)し,地温の上昇をもおさえる(第11図)ため,消雪のおくれが発芽に影響するのであろう.なお,消雪日をX(3月1日起算日数),桑の脱ぼう期日をY(4月1日起算日数)とすると,剣持桑ではY=0.658X+1.63,改良鼠返ではY=0.661X+4.78の式が成りたち,およその発芽期を発芽の早い品種ほど高い精度で予測することが出来る.しかし,消雪日が3月20日以前というように極端に早い年には,それに伴った地・気温の上昇がなく,発芽が早まらないため(第10図・第11図)この式の利用は無理があろう.和田27)らは積雪地の発芽予想に地温各層の平均最低期日を用いているが,この平均最低期日は第11図における地温上昇期にほぼ相当すると思われ,消雪日よりも発芽予想には適当な要因であると考えられる.
索引語クワ;積雪;新潟県;発芽;年;積雪;降雪;発芽;積雪量;桑;関係;消雪;傾向;気温
引用文献数29
登録日2011年03月04日
収録データベースJASI, AGROLib

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