大豆種子の組織破壊が加水加熱時のトリプシンインヒビター失活に及ぼす影響

大豆種子の組織破壊が加水加熱時のトリプシンインヒビター失活に及ぼす影響

レコードナンバー631433論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00012295NACSIS書誌IDAN10467499
著者名盛永 宏太郎
書誌名日本食品科学工学会誌
別誌名日本食品科学工学会誌
発行元日本食品科学工学会
巻号,ページ48巻・ 6号, p.416-421(2001-06)ISSN1341027X
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抄録大豆種子の組織を破壊した後、加水膨潤と加熱を行い組織破壊の程度がTIの熱失活に与える影響を調べて次の所見を得た。 (1)膨潤丸大豆と磨砕大豆に0.05Mリン酸緩衝液(pH7.6)を加えて沸騰水浴中で20分間加熱したところ、いずれも膨潤丸大豆に残存するTI活性の方が磨砕大豆のTIよりも小さい値になった。そしてその値は120℃30分間加圧加熱したときの磨砕大豆の残存TI活性値に匹敵するものであることを認めた。 (2)丸大豆と破砕大豆微粉にリン酸緩衝液を加えて吸水膨潤後に沸騰水浴中で加熱したところ、加熱約5分までは微粉のTIの方が急激に熱失活した。そして両者共に、加熱5分後のTI活性は大豆1mg当たり、生大豆の約1/10相当する数単位になった。しかしそれ以後は微粉のTIは下げ止まりの傾向を示すのに対して、丸大豆はさらに減少し加熱20分後には破砕大豆のTIの約1/2にまで減少した。 (3)リン酸緩衝液を加えて吸水膨潤した丸大豆と破砕大豆微粉を20分間加熱したところ、80℃以下の温度では、TI活性減少率は微粉の方が大きかったが、80℃以上では、丸大豆の方が大きくなった。 (4)破砕大豆にリン酸緩衝液を加えて吸水膨潤後に沸騰水浴中で20分間加熱したところ、微細に粉砕した大豆のTIほど熱失活しなくなった。しかし粒径1mm程度で限界に達し、それ以上に粉砕してもさらなる差異は生じなかった。 (5)圧扁大豆にリン酸緩衝液を加えて吸水膨潤後に沸騰水浴中で20分間加熱したところ、圧扁の程度が増すほどTIは熱失活しなくなった。 (6)剥皮した大豆を150℃20分焙煎すると剥皮処理を行うことでTIが熱失活しなくなる傾向が見られた。しかし湿式加熱ではこの傾向は認められなかった。また大豆をナイフで切断した大豆にリン酸緩衝液を加えて吸水膨潤後に沸騰水浴中で20分間加熱したところ、分割の程度が少ない大豆では、TIの熱失活しなくなる傾向は認められなかったが、8分割以上に細かく分割した大豆では、有意にTIが熱失活しなくなることが認められた。 以上(1)~(6)までの結果、大豆種子は湿式加熱においても、焙煎加熱で見られたように、組織破壊の程度に応じてTIは加熱しても熱失活しなくなることが明らかになった。 従来、大豆加工や調理においては食味向上を兼ねて大豆組織が充分に軟らかくなるまで煮熟するのが一般である。しかし以上の結果から、単に大豆のタンパク質の消化向上を目的とする場合は、過度の煮熟は必要なく、また加熱前に大豆を挽き割ったりすり潰したりする処理も不要であるように思われた。
索引語ダイズ;酵素阻害剤;植物組織;破壊;活性;加熱;酵素(プロテアーゼ);種子
引用文献数11
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI

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