アコヤガイの種苗生産について

アコヤガイの種苗生産について

レコードナンバー651986論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20005761NACSIS書誌IDAN10065484
著者名林 政博
瀬古 慶子
書誌名三重県水産技術センター研究報告 = Bulletin of the Fisheries Research Institute of Mie/ 三重県水産技術センター [編集]
発行元三重県水産技術センター
巻号,ページ1号, p.39-68(1986-09)ISSN09130012
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抄録本報告は既報をもとにこれに加筆、一部修正を加えてアコヤガイ種苗生産のマニュアルとしてとりまとめたものである。1章では餌料藻(Pavlovalutheri)の生産、II章では幼生と稚貝の飼育、第III章では親貝の飼育を取りあげた。1章では最初に餌料藻の培養方法と三重県栽培漁業セソター(1981)における実際の餌料の生産実例を紹介し、恒温室を利用しての餌料藻の生産は非常に安定しており、計画的生産が可能なことを示した。次に大量培養過程での細胞容積の変化と細胞容積と炭水化物含量との関係を述べた。細胞の生長(これは細胞容積と細胞数の増加をさす)は接種される初期培養の状態によって影響をうけ、定常期に達してから長時間が経過したような古い培養を大量培養液に接種すると細胞数は不規則に増加して、同時に細胞容積はおよそ2倍程度変動した。一方対数増殖期の大量培養を次々と植え継いだ時には細胞は小型であるが容積の変動は小さかった。貝の主要な栄養である餌料藻の炭水化物含量は細胞容積に比例しており、蛋白質含量についてもクロロフィル-aとN含量の比率の変化から炭水化物含量と同様に容積に比例していると推察した。これらの結果から幼生の摂取栄養量を正確に把えるためには細胞数だけでなく細胞容積にも注意を払うべきであると結論した。細胞生長の制限要因に関する実験からは三重県栽培漁業センターでの餌料生産の現状は培養液や通気量ではなく、光量によってその生産量が制限を受けているが、これ以上蛍光管の数を増加しても光効率(蛍光管あたりの細胞数の増加量)は低下することを示した。II章では浮遊期の幼生を飼育して次のような観察結果を述べた。幼生の摂餌量は生長と高い相関があり、1日の摂餌量は幼生の大きさによって限度があること、そして特にUmbo期以後は幼生の生長が大きくそれに伴って摂餌量が急増すること。したがって十分な摂餌量を保証するような摂餌率(70~80%)を基にして幼生密度と投餌量を調整するのが簡単で確かな飼育方法であると考えられた。このような理想的方法で大量生産規模で飼育された事例から適当と思われる80%の摂餌率を基にして次のように標準的な飼育方法を整理した。受精後20日間の飼育で選別された幼生は1日300~9,O00細胞のPavlovaを摂取する。投餌量は初期濃度にして4,500~45,000cells/mlで、幼生の生長(殻長)は80~210μm、幼生の収容密度は12~41arvae/mlである。稚貝(平均殻長1.33mm)に関しては餌料濃度と投餌回数をかえて飼育実験を行って1日2回の投餌によって12×104cells/ind./dayを摂取した時に最大生長が得られたことを示した。稚貝の必要餌量に比べると餌料の生産量が足りないので、Pavlovaの不足を補うためにChlorellaの餌料価値を調べた。ChlorellaはPavlovaと混合して与えた時にはPavlovaと同様に有効に利用されたが単独ではPavlovaより40%程度餌料価値が劣った。III章では室内での親貝飼育の問題をとりあげて飼育方法と餌料の供給を論じた。最後に冬季に行った加温飼育による生殖巣の発達と成熟の促進に関する実験結果を紹介した。生殖巣は水温18℃でわずかに発達し、また成熟も進行した。18~24℃の範囲内では生殖巣の発達と成熟の進行は水温が高い程促進されて、21~22℃で3週間程度飼育すれば生殖巣は完全に成熟してふ化率は90%とたった。
索引語アコヤガイ;種苗生産;初期餌料;稚仔;親
引用文献数18
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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