日本産イグチ類の分類学的研究(1)

日本産イグチ類の分類学的研究(1)

レコードナンバー652443論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00020889NACSIS書誌IDAA11352650
論文副題ミダレアミイグチ属,ハンノキイグチ属およびクリイロイグチ属につて
著者名長沢 栄史
書誌名財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所研究報告 = Reports of the Tottori Mycological Institute
別誌名日本きのこセンター菌蕈研究所研究報告
菌蕈研究所研究報告
発行元日本きのこセンター菌蕈研究所
巻号,ページ39号, p.1-27(2002-06)ISSN03888266
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抄録イグチ類諸属の内、ミダレアミイグチ属(Boletinellus)、ハンノキイグチ属(Gyrodon)およびクリイロイグチ属(Gyroporus)の3属菌について日本産標本を調査した。ミダレアミイグチ属は従来一般にハンノキイグチ属の異名として取り扱われてきたが、最近の分子系統学的な研究の結果は明らかに同属とは系統的に異なることを示しており、形態学的(子実層托の発達様式および嚢状体の性質)および生態学的(菌根関係)にも各々特徴付けることができると考えられたので独立した属として取り扱った。 ミダレアミイグチ属およびハンノキイグチ属においてはそれぞれの属の基準種であるミダレアミイグチ(B.merulioides)およびハンノキイグチ(G.lividus)の各1種が認められた。ミダレアミイグチは従来九州からしか報告されていなかったが、大阪産の標本に基づいて本州(近畿地方)にも分布することを初めて明らかにした。クリイロイグチ属においては1変種を含む4種、即ちアイゾメイグチ(G.cyanescens var.cyaneotinctus)、クリイロイグチ(G.castaneus)、クリイロイグチモドキ(G.longicystidiatus)、ビロードクリイロイグチ(新称)(G.puctatus)を認めたが、これらの内ビロードクリイロイグチは日本新産種である。クリイロイグチモドキはG.longicystidiatusの暫定的な学名が与えられていたが、本報告においてラテン記載文を掲げ正式に新種として報告した。 日本新産種であるビロードクリイロイグチは、小型なクリイロイグチを思わせる種類であるが、小型(傘の径約20-45mm)であることの他に、傘および柄の表面が微毛に被われてビロード様を呈し、成熟した子実体では傘表面がしばしば細かくひび割れ細点状となる点を顕著な外観的特徴とする。顕微鏡的には傘表皮がほぼ直立する菌糸で構成された柵状毛状被からなり、その菌糸にはクランプが稀にしか観察されないこと、またその末端細胞が尖り嚢状体様であることを特徴とする。ロシア極東地方から報告された種類であるが、その他の地域からの報告はない。北海道および本州(鳥取、石川)において、落葉広葉樹林、アカマツ-クヌギ林、モミ-シイ林あるいはシイ林などで採集されている。新種であるクリイロイグチモドキはクリイロイグチより淡色な子実体(ほぼ肉桂褐色)を形成する種類であるが、著しく長い縁シスチヂア(しばしば長さ50μmを越える)をもつ点を著しい特徴とする。ブナ林およびシイ林などに発生し、本州(青森、神奈川、大阪、奈良、京都、兵庫、鳥取、岡山)、四国(香川)および九州(福岡)で採集されている。
索引語キノコ;分類;真菌類(担子菌);新種;形態;生態;日本
引用文献数68
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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