マウスの攻撃行動に関する研究

マウスの攻撃行動に関する研究

レコードナンバー670015論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00015342NACSIS書誌IDAN00033029
著者名河本 泰生
佐藤 勝紀
書誌名岡山大學農學部學術報告 = Scientific report of the Faculty of Agriculture, Okayama University
別誌名Scientific reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
岡山大学農学部学術報告
発行元岡山大學農學部
巻号,ページ92号, p.103-110(2003-02)ISSN04740254
全文表示PDFファイル (807KB) 
抄録家畜の管理にあたって、攻撃行動の解析は重要な課題である。家畜のモデル動物であるマウスでは、攻撃性を発現させる要因の1つに遺伝的要因が挙げられているが、十分な解析がなされていない。そこで、本研究は、マウスの攻撃性について選抜育種を行い、攻撃性の遺伝率を推定するとともに、選抜世代に伴う近交係数と生産能力の推移について検討し、つぎに攻撃性に及ぼす飼育密度の影響について検討した。さらに攻撃性に関与するとみられる脳内神経伝達物質の動態について検討した。攻撃性の選抜結果、遺伝的に攻撃性の異なる2つの系統(高・低攻撃性系統:H系・L系)の作出に成功した。また、攻撃性の遺伝率、実現遺伝率の値はともに低い値となり、攻撃性は環境の影響を強く受けることが示唆された。H系・L系での選抜に伴う近交係数は1世代当り約2%増加し、選抜34世代では、各々68.2、67.1%の値を示した。両系統とも選抜に伴い、繁殖能力のわずかな低下が認められたが、これは近交係数の上昇に起因したものと考察した。攻撃行動に及ぼす飼育密度の影響についてみると、H系では個別飼育が最も高い攻撃行動を示し、これに対してL系では個別飼育でもほとんど攻撃性は認められなかった。このことから、H系とL系では闘争抑制機構に遺伝的差異が生じてきたことが示唆された。脳内神経伝達物質について検討した結果、攻撃試験を行わない場合にはH系ではL系に比べてセロトニンの代謝回転は有意に低い値を示した。このことは、H系ではセロトニンの代謝が抑制され、一方L系では亢進しており、攻撃行動にはセロトニンの重要な関与が示唆された。また、H系とL系では、ドーパミン量にも明らかな差異がみられた。さらに、ドーパミンD2受容体のシナプス前にある自己受容体に対する特異的なアゴニスト(BHT920)を用いた実験の結果から、H系はL系に比較してドーパミン生合成と放出率が高く、H系とL系ではシナプス前にある自己受容体を介した自己抑制性の機構に差異があることが示唆された。攻撃性の異なるH系とL系ではドーパミンD1受容体量にも差がみられ、両系統でのドーパミン放出量と関係していることが示唆された。
索引語性;選抜;行動;飼育;系統;受容体;マウス;遺伝率;近交係数;抑制
引用文献数31
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

論文アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat