海産哺乳類を中心とした生態系モデリングのための数理統計学的研究

海産哺乳類を中心とした生態系モデリングのための数理統計学的研究

レコードナンバー692577論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20003079NACSIS書誌IDAA11589591
著者名岡村 寛
書誌名水産総合研究センター研究報告
別誌名水研センター研報
Bull. Fish. Res. Agen
発行元水産総合研究センター
巻号,ページ10号, p.18-100(2004-03)ISSN13469894
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抄録多くの鯨類のように、高度回遊性を持ち、飼育の困難な生物の正確な資源状態を知ることは容易ではない。一方で近年、単一種に基づいた生物種の管理の限界が認識され、生態系全体を考慮した資源評価・管理への需要が高まってきている。生態系モデルは一般に多くの不確実性を被るので、生態系を考慮したアプローチでは、各生物の資源状態をできるだけ正確に精度良く把握する必要がある。また、不確実性の大きいデータから効率よく情報を引き出し、生物資源の状態を正しく把握するためには、統計モデルの活用が重要となる。本論文の構成は次の通りである。第1章では、過去の海産哺乳類の資源評価・管理の歴史と現状、および近年の水産資源に対する生態系モデル研究の概要を述べた。第2章では、鯨類資源の分布・系群構造把握のための共変量モデルの開発と北太平洋ミンククジラへの適用を行った。北太平洋ミンククジラの空間的な分布、季節的な変動を推定した結果、複数系群が存在するという証拠は得られなかった。密度の季節変動は、ミンククジラの回遊の様子をよく再現しており、本方法の有効性が確認された。回帰モデルを利用した時空間分布の把握は、他の水産資源の分布・回遊の把握にも有効に働くと考えられ、本方法を広く水産生物の動態の分析に応用することが可能である。第3章では、目視調査線上の見落とし率の補正を含む新しい個体数推定法の開発を行い、シミュレーションや実際のデータへの適用により本方法の有効性を確認した。従来の調査線上の発見確率推定法では、発見したクジラの追跡などの調査デザインの変更や、潜水時間に関する外部データの必要性、情報の不完全な使用、近似尤度の使用などいくつかの問題点があった。そのような問題点を改良・修正することにより、柔軟で一般化した推定量を与える方法を開発した。第4章では、鰭脚類の実験データから、定量的に動物の嗜好性を調べる方法の開発を行った。従来のモデルでは、消費量の情報を直接扱えない、1種類の餌のみが利用される全勝データを扱えないなどの欠点により、検出力の低下、偏りの問題が想定されるが、それらの欠点を解消した方法を開発した。さらにパラメータの精度と嗜好性に関するいくつかの仮説を検定するためのシンプルな方法を提示した。第5章では、生態系モデル・エコパスを三陸生態系に適用し、鯨類と漁業の競合関係の検証を行った。パラメータの設定によっては、競合関係の存在が支持され、パラメータの精度の良い推定、不確実性の取り込みの重要性が確認された。最後に、第6章において、本論文で開発した統計モデルの長所・短所、生態系モデル開発の重要性および将来の展望について議論した。
索引語モデル;生態系;開発;資源;生物;データ;推定;分布;回遊;性
引用文献数210
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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