冷温帯落葉広葉樹林における林床のクマイザサ群落の炭素収支の評価

冷温帯落葉広葉樹林における林床のクマイザサ群落の炭素収支の評価

レコードナンバー703087論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00015063NACSIS書誌IDAN00193852
著者名西村 格
松井 善祐
上山 智子
ほか5名
書誌名日本生態學會誌
別誌名日生態会誌
Jpn. j. ecol
Japanese journal of ecology
日本生態学会誌
発行元日本生態学会暫定事務局
巻号,ページ54巻・ 3号, p.143-158(2004-12)ISSN00215007
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抄録地球規模の環境問題の内、温暖化物質である二酸化炭素のミッシングシンクと考えられる林床植生の評価をする目的で、冷温帯落葉広葉樹林の林床におけるクマイザザ群落の生育特性と、炭素収支を測定した。その結果、(1)クマイザサでは、稈は約5年、葉身は約3年の寿命であった。(2)クマイザサは、越冬直後から出芽し、葉の展開が始まるが、地上部の当年生育量は10月に最大となる。地下部の生育は地上部よりもやや遅れて始まる。(3)林床に生育するクマイザザ群落の現存量は、年間を平均すると地上部で約670gd.w.m-2、地下部で約490gd.w.m-2と、一般の林外のクマイザサ純群落の地上部現存量に比較して約1/3程度であった。(4)全可溶性炭水化物(SC)の季節的変動を見ると、林床に生育するクマイザザでは、一般の植物と異なり越冬直後に一時高くなる時期がある。その後は、夏を経過する過程で減少し、秋に高まり、この傾向は一般の植物と同様である。(5)林床のクマイザザ群落では、越冬直後の春から落葉樹が葉を展開するまでの期間に、新器官の成長と同時に旧器官への蓄積を行う。(6)夏の間、樹木が葉を展開させると、林床へ到達する光が弱まり、本来、ササ群落で最も生産量の高いこの時期に、林床クマイザサ群落ではマイナスの生産をしている。(7)秋、樹木の落葉後、根雪になるまでの期間に、再び稈や地下茎にSCの蓄積を行い越冬態勢を整えるのは、一般の植物と同様である。(8)呼吸量を葉・稈・地下部に分けて、器官の新旧別に通気法で測定した。その結果、この林床クマイザサ群落の呼吸量は、年間約4.1?5.1Cha-1yr-1であり、林床クマイザサ群落の総生産量は年間約5.2?6.3Cha-1yr-1と推定されたが、地下部の呼吸量は測定法を含めて、今後の課題として残された。(9)以上の結果が総合されて、炭素換算で年間約1.1?1.2Cha-1yr-1の純生産量となっている。この結果、林床植生としてのクマイザサ群落は年間約1.1?1.2Cha-1yr-1程度の炭素固定に寄与していると言える。また、落葉広葉樹の葉の未だ展開していない初夏までと、落葉期以降積雪期までの樹木の機能の低下している期間は、この森林生態系では林床のササ群落が主として炭素固定に寄与し、林床植生の炭素固定能は無視できない値であると言える。
索引語林床;群落;炭素;落葉;生育;葉;越冬;展開;広葉樹;植生
引用文献数43
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI

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