地球温暖化に伴う草地生産・分布の変動予測に関する研究

地球温暖化に伴う草地生産・分布の変動予測に関する研究

レコードナンバー710998論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20008152NACSIS書誌IDAA11740161
著者名佐々木 寛幸
書誌名畜産草地研究所研究報告 = Bulletin of National Institute of Livestock and Grassland Science
別誌名Bull. NARO Inst. Livest. Grassl. Sci
Bulletin of NARO Institute of Livestock and Grassland Science
Bull. Nat. Inst. Livest. Grassl. Sci
畜草研研報
発行元農業技術研究機構畜産草地研究所
巻号,ページ5号, p.19-60(2005-02)ISSN13470825
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抄録地球温暖化による環境変動は顕在化し,世界各地において異変が生じている。農業分野においてもその実態を把握し,対応策を講じる必要がある。本研究では,農業に密接に関連する気温と二酸化炭素濃度の上昇が牧草の生産性に及ぼす影響を,光合成速度及びニューラルネットワーク理論を応用して解析し,牧草の生産量及びその栽培適地変動の将来予測を行った。実験では,普及頻度の高い寒地型牧草3種,暖地型牧草1種を用い,大気並びに高CO2濃度条件下で生育させ,個葉の光合成速度と温度・光強度・CO2濃度との関係を検討した。その結果,いずれの草種においてもCO2濃度上昇に伴い光合成速度及びその最適温度が上昇し,光合成速度の増加は葉温を変数とする相対倍率で表現できることを明らかにした。牧草の気象生産力を推定するために,ニューラルネットワークの理論を応用した生育モデルの構築システムを開発した。このシステムでは,計算経過をリアルタイム表示し,構築されたモデルを可視化することにより,その妥当性を検討できるようにしたため,最適な生育モデルを容易に構築できるようになった。このモデルは既存の刈取りデータが充実していれば推定精度が高いため,牧草生産力の推定手法として極めて有効であり,既存データを用いて乾物生産量を推定できる柔軟な生育モデルであることを明らかにした。温暖化に伴う栽培適地と生産量の変動を予測するため,平均気温と日射量のメッシュデータをニューラルネットワークモデルにあてはめ,現在と100年後の各草種の年間乾物生産量と夏枯れ地帯の変動を予測した。その結果,栽培可能地帯では生産量が大幅に増加すること,夏枯れ地帯が北上・拡大し,寒地型牧草間の草種変更だけでは維持できない草地が生じること,暖地型牧草の栽培可能地帯が拡大することを明らかにした。寒地型牧草地帯,暖地型牧草地帯,夏枯れ地帯の3分類により,現在と100年後における地帯区分図を作成した。牧草地の分布に地域的な偏りがあるため,現在の牧草地面積から生産量の変動を都道府県別に集計した。その結果,100年後には,夏枯れ地帯に属する牧草地面積は現在より1.5倍以上に増加するものの,多くの寒地型牧草地帯で生産量が増加するため,日本全体での収量としては,寒地型牧草で1.4倍,暖地型牧草で4.6倍,牧草全体では1.5倍の増収が予測された。
索引語草地;生産;分布;変動;予測;研究;環境;農業;実態;気温
引用文献数79
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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