奄美群島におけるアリモドキゾウムシの生態と根絶防除に関する研究

レコードナンバー
772271
論文タイプ
学術雑誌論文
ALIS書誌ID
ZZ20033316
NACSIS書誌ID
AA12292124
著者名
山口 卓宏
誌名
鹿児島県農業開発総合センター研究報告. 耕種部門
別誌名
鹿児島農総セ研報(耕種) ; Bull. Kagoshima. Pref. Ins. for Agri. Deve. (Agricultural Research)
発行元
鹿児島県農業開発総合センター
巻号ページ
3号,p.73-146(2009-03)
ISSN
18818609
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抄録
アリモドキゾウムシはサツマイモの重要害虫で、わが国では北緯30度以南の南西諸島と小笠原群島で発生しており、植物防疫法の規制を受けずに、これらの地域から未発生地へ自由にサツマイモ等を出荷するためには本種の根絶が必須となる。本研究では、奄美群島で最初に本格的な不妊虫放飼による根絶防除を実施する喜界島での本種の分布、発生消長、雄成虫数の推定を行うとともに、奄美群島での本種の発生生態ならびに根絶技術の改善について考察した。喜界島において、アリモドキゾウムシは島内ほぼ全域に生息しており、野外の成虫は冬季(12〜2月)に最も密度が低く、春季から次第に増加し9月から10月頃をピークとする1山型の発生消長を示した。また、低密度期における全島での雄成虫総数は80万頭以下と推定された。奄美大島ではいずれのステージでも越冬し、主な越冬態は成虫と3齢幼虫と考えられた。また、サツマイモ塊根内のアリモドキゾウムシは冬季においても発育が認められ、幼虫、蛹期における冬季の休眠はないものと考えられた。一方、雄成虫は冬季も交尾活動が可能な状態であったが、雌成虫はほとんど交尾、産卵が認められなかった。冬季において雌成虫は未交尾にもかかわらず、性フェロモンを放出していないことから、生殖休眠の可能性が示唆された。したがって冬季は不妊虫放飼に先行する密度抑圧防除時期の適期であり、生物的防除資材の利用可能性について検討した。また、不妊虫放飼の開始時期としては2月下旬から3月上・中旬頃が最も効果が高いと結論された。不妊虫放飼法によるアリモドキゾウムシの根絶技術において、生物的防除資材の探索、不妊虫生産コストの低減、放飼不妊虫の虫質向上は重要な課題である。昆虫病原性線虫Steinernema carpocapsae(All系統)をサツマイモ圃場に施用すると、無処理と比べてアリモドキゾウムシによる被害塊根率が約60%、塊根の被害度が約40%減少し、本種の密度抑圧防除の一手段として利用できることを示した。また、不妊虫の生産コスト低減策の一つとして、安価な原料用サツマイモ3品種がアリモドキゾウムシ増殖用の餌として代替可能であることを明らかにした。放飼虫の虫質向上を図るために不完全不妊虫の利用を検討し、妊性、寿命、性的競争力の試験から、蛹期にγ線を照射する場合、50Gy照射虫が利用可能と考えられた。また、50Gy照射雄成虫について、未交尾野生雌の発見能力を明らかにし、不完全不妊虫の利用を想定した根絶モデルの補正を提言した。さらに、冬季における不妊雄成虫の分散能力を明らかにし、冬季に定点放飼する場合の放飼地点間隔を示した。以上の結果に基づき、アリモドキゾウムシ根絶防除計画の問題点と今後の展望について論議した。
引用文献数
270
登録日
2011年3月5日
収録データベース
JASI ; AGROLib