海苔スミノリ病の発症要因解析と防除法開発に関する研究

レコードナンバー
830523
論文タイプ
学術雑誌論文
ALIS書誌ID
ZZ00012373
NACSIS書誌ID
AN10412839
論文タイトル(英)
Studies on the Incidence Factors of Suminori Disease and the Development of the Biological Control in Laver Cultivation using Bacteriophage
本文言語
ja
著者名
三根 崇幸
誌名
佐賀県有明水産振興センター研究報告 = Bulletin of Saga Prefectural Ariake Fisheries Research and Development Center
別誌名
佐有水試研報 ; Bull. Saga Prefect. Ariake Fish. Res. Dev. Cent.
発行元
佐賀県有明水産振興センター
巻号ページ
25号,p.41-76(2011-08),和文抄録
ISSN
09191143
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抄録
ノリ養殖では,細菌感染症であるスミノリ病が冷凍網養殖期にしばしば発生し,その生産に被害を及ぼしている。本研究では,スミノリ病の発生要因を明らかにするとともに,スミノリ病原細菌感染ファージを用いた海苔スミノリ病防除法の開発を目的とした。本病ノリ葉体から分離・保存されていた細菌8菌株について,病原性の確認と細菌種の同定を行った。その結果,1985,2002,2003,および2004年に分離された4菌株では同様に本病の症状を引き起こしたものの,1985年に分離された菌株はArthrobacter tumbae,2002年以降に分離された3菌株はGaetbulibacter saemankumensisに最も近縁な細菌と同定された。正常および冷凍保存した養殖ノリ葉体から本病菌を検索した結果,いずれの養殖ノリ葉体にもGaetbulibacter sp. が付着していることが明らかとなった。一方,冷凍処理によりノリ葉体の生理状態は悪化し,低塩分条件下での冷凍処理ではさらに悪化することが判明した。さらに,本病菌感染に対するノリ葉体の感受性は生理状態の悪化に伴い上昇することが明らかとなった。以上の結果から,本病の発生には,本病菌感染だけでなく,ノリ葉体の生理状態も大きく関係することが明らかとなり,本病の発生要因は多様性を有することが強く示唆された。有明海の海水および干潟泥土からスミノリ病原細菌に感染するファージを3種類分離し,その性状解析を行った。ファージの形態およびゲノム制限酵素解析の結果,これらのファージは2種類のグループに分けられた。分離した各ファージの宿主特異性、感染力,温度安定性,pH安定性について検討し,本病の防除に最も適したファージを選抜した。選抜したファージを用いてノリ葉体に対する本病の発症防除試験を行った結果,本病菌の接種直後にファージ処理したノリ葉体では,本病菌に対する感染防止効果が認められた。さらに,細菌感染24時間後にファージ処理を行った場合でも,本病の発病抑制効果が認められた。本病菌を人為的に感染させ冷凍保存したノリ葉体に対するファージ処理の効果を酸処理と比較検討した。その結果,ファージ処理および酸処理を行ったノリ葉体ではいずれも本病の発病阻止効果が認められたが、ファージ処理を行ったノリ葉体上の本病菌は,酸処理を行ったノリ葉体よりも比較的穏やかに減少してゆくことが明らかとなった。さらに,酸処埋したノリ葉体の生長はファージ処理したノリ葉体と比較して明らかに劣ることも明らかとなった。以上のことから,ノリ葉体の生長に与える影響を考えると,本病の防除には酸処理よりもファージ処理の方が好ましいことが強く示唆された。以上の研究により,スミノリ病の発生要因が明らかとなり,また,スミノリ病原細菌感染ファージを用いた海苔スミノリ病の防除法確立の可能性が強く示唆された。
引用文献数
77
登録日
2013年10月8日
収録データベース
JASI ; AGROLib