三河湾のデッドゾーンにおける環境悪化機構

三河湾のデッドゾーンにおける環境悪化機構

レコードナンバー852194論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00013144NACSIS書誌IDAN10425954
著者名和久 光靖
向井 良吉
蒲原 聡
本田 是人
高倍 昭洋
書誌名愛知県水産試験場研究報告
別誌名Bulletin of the Aichi Fisheries Research Institute
発行元愛知県水産試験場
巻号,ページ18号, p.1-11(2013-03)ISSN09197494
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抄録大規模泊地・航路,小規模泊地,浚渫窪地,入江の4タイプのデッドゾーンにおいて2009年6月5日から9月29日までの間,水質,底質,マクロベントスについての現場観測を行った。観測を実施したいずれの水域も,植物プランクトンの大増殖期において,すでに湾央に先行してデッドゾーン化しており,懸濁物除去機能の喪失により,その後の全湾的な赤潮,貧酸素化の形成に影響を与えていると考えられた。大規模泊地・航路では,内部に滞留した貧酸素水の湧昇による周辺浅海域の底生生態系破壊が,浅海域から大規模泊地・航路内部への有機物の集積によるさらなる貧酸素化を招き,無生物状態が長期に持続していたと考えられた。このため,潜堤の造成等により,貧酸素水塊の湧昇を防除する必要があると考えられた。浚渫窪地では無酸素水が長期に滞留し,底質環境も極度に悪化しており無生物状態が長期に持続していた一方で,隣接する浅海域では,マクロベントスの現存量は高かった。しかし,貧酸素水塊の湧昇が長期に持続すれば,この浅海域のマクロベントス群集も死滅する可能性があり,その場合,失われる水質浄化能力も大きく,窪地内への有機物の集積機構により,さらに多くの硫化水素や無酸素水が発生し,周辺生態系への被害が拡大する怖れがあると考えられた。このような潜在的な危険性を排除するため,埋め戻しを行う必要があると考えられた。小規模泊地内部の水深の深い箇所では,大量沈降した有機物による酸素消費と,強固な成層化により,貧酸素化が顕著であり無生物状態が持続した一方,水深の浅い箇所では酸素環境が比較的良好であり,二枚貝類の生息が認められた。このことから,小規模泊地内における浅場造成と懸濁物食者の添加により,水域の環境改善に貢献できる可能性が示唆された。入江では,地先底層に形成された貧酸素水塊の侵入により溶存酸素飽和度が低下し,入江の奥部では,それに加えて,海水の停滞に起因する水域独自の酸素消費により,より貧酸素化が進行していたと考えられた。このような入江については,開削,導水等により,貧酸素化の軽減とともに,サルボウガイ等,懸濁物食者の着底,生息が可能となり,水域の水質環境の改善が期待できると考えられた。今後は,デッドゾーンの生態系機能喪失と全湾の環境悪化との関係を明確にするとともに,環境改善策の効果を定量的に評価する必要がある。
索引語湧昇;貧酸素化;入江;持続;デッドゾーン;マクロベントス;水域;浅海域;大規模泊地;有機物
引用文献数22
登録日2014年01月30日
収録データベースJASI, AGROLib

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