稲の多収性育種の現状と戦略

稲の多収性育種の現状と戦略

レコードナンバー872724論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00002091NACSIS書誌IDAA00653145
著者名根本 博
書誌名Gamma field symposia
発行元Institute of Radiation Breeding, Ministry of Agriculture & Forestry
巻号,ページ50号, p.35-38(2014-03)ISSN04351096
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抄録単収はその国の作物の開発水準を示す指標の一つと言え、収量性の向上には長期間の成果の積み重ねが必要である。多収性は最も重要な育種目標であるが、既存の日本品種などの狭い遺伝資源だけで品種改良を進める限り、収量を飛躍的に向上させることは難しいと言わざるを得ない。積極的に熱帯のインド型品種等を育種素材として利用し、優れた籾着生数や登熟性などの収量関連形質を日本品種に導入する事によって収量性の向上が期待できる。 育成された多収水稲品種 1)玄米多収品種 農研機構では飼料用や加工用に向けて米飯食味や玄米外観品質は劣るが、700~1000kg/10aの高い収量性を示す多収性品種の開発を進め、2009年までにほぼ全国の稲作地域で栽培可能な多収性品種シリーズを育成した。こうした品種は穂重型の草型をもち、大きな穂を支える強い稈と、優れた登熟力により高い収量性を実現している。なかでも東北地方向けの「べこあおば」は2001年から08年に秋田県大仙市で行った極多肥栽培で、平均して920kg/10aの高い粗玄米重を示した。また、新潟県でのバイオエタノール原料稲栽培実証事業で利用されている「北陸193号」は新潟県三条市における3ヵ年の現地実証試験で700~900kg/10aの粗玄米重を示した。しかし、インド型品種の多収性を導入した多収性品種は耐冷性やいもち病抵抗性が劣る傾向があり、今後のさらなる改良が必要である。 2)茎葉多収品種 茎葉と籾を一緒に収穫し、稲発酵粗飼料として家畜に給与するために、株全体の収量が高い品種が開発されている。全重が多収の品種には「べこあおば」、「夢あおば」のように子実の割合が多い品種と、「たちすがた」や「リーフスター」のように子実よりも茎葉の生育が全重多収に貢献している品種がある。茎葉が多収な品種は’茎葉型’と呼ばれ、成熟期に通常の品種ではコメに蓄積される炭水化物が稈などにも多く蓄積し、消化性の良い稲発酵粗飼料の原料となる。 今後の多収戦略 さらに収量性を向上させるためには、籾数と増加と登熟力の向上が求められる。一穂籾数の増加は耐倒伏性を維持するために稈質の強化も不可欠となり、玄米の収量増加に直結しない可能性が考えられる。そのため、穂数の増加による単位面積当たり籾数の増加を考える必要がある。さらに、登熟力を向上させるためには、光合成能力などの基礎的な研究に加えて、登熟期間の延長などの新しい収量形質の導入なども検討される必要がある。
索引語品種;向上;収量性;増加;べこあおば;茎葉;多収;導入;登熟力;収量
引用文献数6
登録日2014年09月25日
収録データベースJASI, AGROLib

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