地熱資源をめぐる発電と温泉利用の共生に向けたステークホルダー分析

地熱資源をめぐる発電と温泉利用の共生に向けたステークホルダー分析

レコードナンバー893223論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00011887NACSIS書誌IDAN10165252
論文副題大分県別府市の事例
著者名馬場 健司
高津 宏明
鬼頭 未沙子
河合 裕子
則武 透子
増原 直樹
木村 道徳
田中 充
書誌名環境科学会誌 = Environmental science
別誌名環境科学会誌
発行元環境科学会
巻号,ページ28巻・ 4号, p.316-329(2015-07)ISSN09150048
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抄録本研究では,大分県別府市において小規模地熱発電を題材として,地熱資源の発電と温泉利用の共生について検討するため,ステークホルダー(SH)分析手法を用い,当該問題のSHを抽出したうえで,その利害関心を分析し,どのようなコンフリクトが起こり得るのか,それを未然に回避するにはどのような方策があり得るのかについて明らかにした。2014年7~8月に合計36団体(53名)から聴き取り調査を実施して得られた主な結論は以下のとおりである。第1に,SHのほとんどが小規模地熱発電へ非常に高い関心を示すものの,必ずしも十分な知識に裏付けられていない,或いは科学的知見にも不確実性が多く含まれるという意味において,「脆弱な関心」といえる。第2に,地熱資源を観光・経営資源として利用することが多くのSHから支持されている。その上で,単に経済的価値だけでなく非経済価値も認め,地域コミュニティ全体での共有資源であるとの認識を持つSHも少なくない。第3に,小規模地熱発電を巡っては一定の見解の相違はみられるものの,顕著なコンフリクトはみられない。小規模地熱発電は新規掘削を伴わないなど,環境への影響が少ないとされるが,冷却に地下水が用いられることや,発電に十分なエネルギーを得るために多量の温泉水を必要とすることも指摘されている。地熱資源の枯渇には大きな懸念が存在しており,何らかの影響が出た時には反対の立場を表明すると考えられるSHもみられ,将来的にコンフリクトが顕在化する可能性はある。したがって第4に,多くのSHに通底する温泉資源の枯渇やコミュニティの崩壊といったリスク認知の共有により,専門知と現場知の統合,現場知同士の統合を図る必要がある。例えば多くのSHが新規掘削の際に懸念を持っている温泉資源のモニタリングを行い,科学的知見の事実を共同で確認していく方法が考えられる。加えて,SHが認識していない「気候変動期における地球科学的にみて重要な自然としての地熱資源」などといったブランディング価値を共同で確認するリフレーミングも重要となる。
索引語地熱資源;小規模地熱発電;関心;発電;コンフリクト;温泉利用;共生;大分県別府市;科学的知見;認識
引用文献数19
登録日2016年01月26日
収録データベースJASI, AGROLib

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