サトイモの湛水栽培に関する研究

サトイモの湛水栽培に関する研究

レコードナンバー902067論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20522941NACSIS書誌IDAA12675451
著者名池澤 和広
書誌名鹿児島県農業開発総合センター研究報告
別誌名Bull. Kagoshima. Pref. Ins. for Agri. Dev.
鹿児島農総セ研報
発行元鹿児島県農業開発総合センター
巻号,ページ10号, p.49-88(2016-03)ISSN18818609
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抄録サトイモは畑地状態で栽培するのが一般的であるが,南西諸島では‘田芋’,台湾では‘檳榔芯’が水稲と同様に湛水状態で栽培されている。畑地で栽培されている品種について湛水栽培の可能性を検討した。ポットで湛水栽培を行うと,水田栽培用品種‘田芋’と同様に,畑地栽培用品種‘大吉’,‘大和’,‘えぐ芋’,‘泉南中野早生’および‘石川早生丸’は,湛水処理により葉柄が1.1~1.9倍に伸長し,球茎重は1.4~2.3倍に増加していた。水田栽培用品種の‘田芋’同様,これらの畑地栽培用品種も湛水栽培により生育が旺盛となり増収することを見出した。湛水栽培が光合成速度に及ぼす影響について調査したところ,湛水栽培により‘大吉’,‘大和’,‘えぐ芋’および‘泉南中野早生’は,‘田芋’と同様に光合成速度が上昇した。サトイモの球茎収量は光合成産物量と密接に関係することから,これらの品種の湛水栽培による増収は光合成速度の上昇によるものと思われる。光合成速度は気孔コンダクタンスと葉肉コンダクタンスによって規定されるが,湛水栽培により気孔コンダクタンス,葉肉コンダクタンス共に高くなっていた。気孔コンダクタンスは気孔密度,気孔の大きさおよび気孔開度によって支配されるが,気孔密度と気孔の大きさは湛水栽培による影響を受けず,気孔開度の増大が気孔コンダクタンス上昇の大きな要因と考えられる。葉肉コンダクタンスは光合成酵素と光化学系の活性の反映であるが,湛水栽培により光化学系の主要な構成要素である葉緑素含量が増大しており,光化学系の活性が高くなっている可能性がある。また,畑地栽培では高温高日照時には葉温40℃を越えることもあり光合成酵素の活性や光化学系活性は低下するが,湛水栽培では蒸散により葉面温度が畑地栽培のそれに比べ3.4-7.4℃低下しているために,これらの活性の低下が抑制され,葉肉コンダクタンスが畑地栽培に比し高いものと考えられる。また,‘石川早生丸’では光合成速度に有意な上昇は見られず,この品種での増収は光合成速度以外の要因によるものと考えられ,今後の検討が必要である。以上のように,サトイモの畑地栽培用品種も水田専用品種と同様に湛水栽培が可能であり,しかも,従来の畑地栽培に比べて増収できる新たな栽培法であることを明らかにした。また,サトイモの湛水栽培は,水田が持つ国土保全(洪水防止,土砂崩壊防止),水源涵養,自然環境保全などの多面的機能を維持できる可能性があり,将来の農業生産に大きく貢献できるものと期待される。
索引語湛水栽培;サトイモ;栽培;増収;光化学系;光合成速度;畑地栽培;活性;田芋;品種
引用文献数60
登録日2016年10月11日
収録データベースJASI, AGROLib

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