人工光型育苗装置において,フィルムを活用したトマトの大苗育苗法を開発した。本方式は,苗の周囲をTAC(三酢酸セルロース: Tri acetyl cellulose)で覆うことにより,支柱などを設置しなくても,転倒せずに大苗育苗が可能であった。また,プラグトレイなどでトマト苗を20日以上育苗すると,相互に葉が絡まり合うため,たとえ生育ができたとしても,取り出しが困難となるが,本手法では,葉が相互に絡まることなく取り出しが可能であった。通常の湿度を通過しないフィルムでは,徒長および葉色の低下が認められたが,TACフィルムを使用した場合は,フィルムで覆わないものと同等の苗が育苗可能であった。花数も対照と同等の数が維持され,この手法は生産現場にも導入できる可能性が高い。実際,フィルム内の湿度を計測したところ,通常の透湿性のないフィルムでは,TACフィルムに比べ湿度が高く推移した。連続した過湿条件により徒長や葉色の低下が発生したものと考えられた。一方で,より好適な環境に維持されるTACフィルムでは,このような障害が回避され,良質の大苗が生産された。