泡盛の醸造過程における4-ビニルグアヤコール生成に及ぼす乳酸菌の影響

レコードナンバー
946704
論文タイプ
学術雑誌論文
ALIS書誌ID
ZZ00020787
NACSIS書誌ID
AN10034389
本文言語
ja
著者名
塚原 正俊 ; 玉城 康智 ; 東 春奈 ; 久貝 樹幹 ; 外山 博英
誌名
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan
発行元
日本醸造協会
巻号ページ
118巻・3号,p.185-192(2023-03)
ISSN
09147314
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抄録
泡盛の大きな特徴の1つに熟成することで香味が向上し芳醇な香りとなることがある。この古酒香の成分の1つであるバニリンは,泡盛の醸造工程でフェルラ酸から4-VGに変換され,熟成中に4-VGからバニリンが生成すると報告されている。今回,フェルラ酸から4-VGへの変換について,泡盛もろみ中の生酸菌の影響を評価した。まず,4酒造所のもろみにおける生酸菌数,フェルラ酸濃度,4-VG濃度の推移を評価した。生酸菌数は,発酵初期に多い傾向が観察されたものの,酒造所による差異が大きかった。フェルラ酸濃度は,比較的酒造所間の差が小さい一方で,4-VG濃度は4倍以上の差が確認された。これらの酒造所から生酸菌を分離し,16S rDNA配列による同定を行ったところ,これまで酒造のもろみで多く確認されているLactobacillus属とともに,Lactococcus lactis,Leuconostoc citreum,Propionibacterium acidipropioniciなどいくつかの種が確認され,確認された種は酒造所ごとの違いが大きかった。得られた乳酸菌についてフェルラ酸の変換活性を評価したところ,Bacillus sp. 2,Lactococcus lactis,Staphylococcus gallinarumに分類された株はフェルラ酸から4-VGへの変換活性を有すると考えられるとともに,Lactiplantibacillus plantarumに分類された株では,ジヒドロフェルラ酸(DFA)に変換されると考えられた。また,標準株であるLactococcus lactis subsp. lactis NBRC 12007,およびLactiplantibacillus plantarum subsp. plantarum NBRC 15891がそれぞれフェルラ酸から4-VGあるいはDFAへの変換能を有すると考えられた。泡盛もろみから採取されたL. lactis K2,あるいはL. plantarum K34を添加した小仕込み試験を行ったところ,アルコール推移の低下は観察されないこと,添加した乳酸菌は2日経過以降で急速に減少することが確認された。さらに,L. lactis K2を添加することで4-VGの推移の増加が確認され,L. plantarum K34を添加することで減少が確認された。これらの結果から,泡盛の発酵過程においてもろみ中の乳酸菌の4-VG濃度への影響が示唆されるとともに,もろみ乳酸菌の添加は4-VG濃度を上昇させる新たな泡盛醸造技術として可能性があると考えられた。
引用文献数
15
登録日
2023年6月13日
収録データベース
JASI ; AGROLib