ニホンカモシカ(Capricornis crispus)の骨格に関する研究(4)

レコードナンバー
341472
論文タイプ
学術雑誌論文
ALIS書誌ID
ZZ00013929
NACSIS書誌ID
AN00121352
論文サブタイトル
頭蓋(頭蓋骨・顔面骨)について
本文言語
ja
著者名
松尾 信一 ; 森下 芳臣
誌名
信州大学農学部紀要
別誌名
Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University
発行元
信州大学農学部
巻号ページ
22巻・2号,p.99-138(1985-12)
ISSN
05830621
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抄録
ニホンカモシカの骨格の形態学的研究の一環として,前肢骨,後肢骨,胴骨(脊椎・肋骨・胸骨)に引き続き,今回は頭蓋について調査研究を行い,図譜を作成した。1.カモシカの頭蓋は頭蓋骨と顔面骨よりなり,頭蓋骨は後頭骨,頭頂間骨,底蝶形骨,前蝶形骨,翼状骨,側頭骨,頭頂骨,前頭骨,篩骨および篩骨および鋤骨から,顔面骨は鼻骨,涙骨,上顎骨,腹鼻甲介骨,切歯骨,口蓋骨,頬骨,下顎骨および舌骨から構成されていた。2.カモシカの頭蓋には,雌雄ともに比較的小形の角(骨格としては前頭骨の角突起)が存在していた。カモシカの頭蓋骨の骨の厚さは,板間層が薄いため,ヤギに比べると非常に薄かった。カモシカの頭蓋の最大幅は,頬骨弓から眼窩下縁にかけての左右の両端間の距離であった。カモシカの頭蓋の中での眼窩の占める位置は,ヒツジのものより前位に存在していた。カモシカの眼窩縁はヤギほど外側に突出していなかった。カモシカの頭蓋の縫合の状態は,ヤギやヒツジよりも凹凸の程度が深かった。3.カモシカの頭蓋骨では,次の部位でヤギやヒツジと差違が認められた。後頭骨:頭頂部,項稜,外後頭隆起,外後頭稜,大孔,後頭顆,顆旁突起(多くの家畜解剖書で頸動脈突起とされている部位),筋結節。前蝶形骨と底蝶形骨:翼,交叉溝,視神経管,トルコ鞍,鞍背,卵円孔。翼状骨:翼突切痕,翼突鈎。側頭骨:岩様部,乳様突起,鼓室胞,外耳孔,破裂孔,側頭稜,頬骨突起,下顎窩。頭頂骨:側頭線,背矢状洞溝。前頭骨:角突起とその位置,鼻骨縁,眼窩上孔。篩骨:鶏冠,中鼻甲介の大きさ。鋤骨:ヒツジより長い。4.カモシカの顔面骨では,次の部位でヤギやヒツジと差違がみられた。鼻骨:短い,上顎骨との縫合部,先端がウシのように二叉になっている個体もいた。涙骨:外涙窩,涙胞。上顎骨:顔結節,眼窩下孔,切歯との縫合部,口蓋突起。腹鼻甲介骨:大きさ。切歯骨:口蓋突起。口蓋骨:蝶口蓋切痕,大口蓋孔,小口蓋孔。頬骨:眼窩前下壁。下顎骨:オトガイ孔,下顎体と下顎枝の境界部に結節(下顎結節Tuber mandibulare)が存在,下顎枝,筋突起,関節突起,下顎頭,下顎孔。5.カモシカの頭蓋の出入孔について記述した(114,115頁)。家畜解剖学用語(NAVJ)やNickelらは,反芻類家畜には破裂孔は存在しないとしているが,カモシカでは,後頭骨底部,側頭骨および蝶形骨の間に,破裂孔が存在していた。カモシカの破裂孔は後方で,頸静脈孔と交通していたが,前方では卵円孔と隔離されていた。本研究は今回で終了し,ニホンカモシカの骨格に関する研究と日本における最初の骨格解剖図譜を完成させた。骨の名称は家畜解剖学用語(19681)に準拠した。
引用文献数
14
登録日
2011年3月5日
収録データベース
JASI ; AGROLib