抄録 | キャベツ栽培の規模拡大と機械化に対して、経営モデルを用いた経営試算によって収益性と省力化の効果を評価し、機械化一貫体系によるキャベツ大規模経営における経営上の展開条件を明らかにした。 1.栽培規模の拡大に伴って、セル成型苗と歩行型自動移植機を利用して移植作業を機械化した慣行体系から、乗用管理機を利用して中間管理作業まで機械化した準機械化体系へは、収益性と省力化の双方に大きな支障がなく、容易に移行できることが試算された。 2.全自動キャベツ収穫機を導入して収穫作業まで機械化した機械化一貫体系は、省力効果は認められたが、同規模で収穫機を導入しない場合に比べて所得が大きく減少した。これは機械収穫による一斉収穫は、販売規格がばらつことで販売価格が相対的に低下するためであり、この影響を軽減するには、生育の斉一性向上が最大の課題であった。 3.一斉収穫と市場出荷を前提とした機械収穫は、複数回の選択収穫に比べて市場価格の低下による所得の減少割合が大きく、経営的に不安定であることが判明した。 4.機械化の程度にかかわらず、農業経営費に対する出荷販売経費の比率は40~50%を占めた。機械収穫による所得の減少を補てんするためには、出荷販売経費を15%程度削減する必要があることが判明した。 5.これらより、機械化一貫体系による大規模経営への展開には複合化品目の選定や出荷流通方法の改善など、多様なリスクマネジメントによって経営の安定を図る必要があると考えられた。 |