主幹部中間台木方式における‘幸水’の生育特性

主幹部中間台木方式における‘幸水’の生育特性

レコードナンバー632201論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20008268NACSIS書誌IDAN00381284
著者名佐藤 守
斉藤 義雄
井上 重雄
阿部 薫
書誌名福島県果樹試験場研究報告
別誌名Bulletin of the Fukushima Fruit Tree Experiment Staton
巻号,ページ18号, p.9-59(2000-03)ISSN02894955
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抄録1984年から1994年までの初結実後11ヶ年の栽培試験から中間台木の種類による'幸水'の生育特性として、以下のような結論が得られた。 (1)主幹部中間台木の影響は幹周に最も明瞭に現れた。幹周肥大が良好なものとして'早生赤'、'二十世紀'、'マンシュウマメナシ'が、逆に幹周肥大が劣るものとして'長十郎'及び'ヤマナシ'が分離された。 (2)'二十世紀'中間台木は、幹周及び主枝の肥大が良く、初期の樹冠拡大が早かった。また側枝及び主枝部での新梢の発生が良好であった。同一剪定条件下では果実肥大、腋花芽着生においても優れ、裂果も発生しにくい生育を示した。また同一剪定条件での3ヶ年の累積収量も'マンシュウマメナシ'と並んで'幸水'中間台木(対照)よりも高い生産性を示した。以上から'二十世紀'中間台木は今回の組合せの中では最も総合的生産性が高いものと推定された。なお糖度は対照区の'幸水'中間台木とは有意差は認められなかったが、'長十郎'中間台木方式と比較して、低い傾向にあるので糖度確保上、幼果期の側枝基部新梢の夏季剪定が重要と考えられた。なお'二十世紀'中間台木のその外の特性として側枝基部新梢の新梢葉枝比が、他の中間台よりも低い傾向が認められた。 (3)'長十郎'中間台木は、幹周肥大と樹冠拡大では最も劣ったが、果実肥大は良好で糖度も高かった。特にこの傾向は記録的な冷夏年であった1993年で明確であった。しかし主技部新梢の発生が少ないことにより、裂果が発生しやすい生育特性を有するものと考えられた。累積収量では'二十世紀'中間台木よりやや劣ったが、'幸水'中間台木(対照)よりは優っていた。また主枝による生育差が出やすい傾向が認められた。この様な特性に留意すれば、ヤマセ地帯など夏季冷涼な地帯では利用可能と推察された。 (4)主幹部'マンシュウマメナシ'方式では、'二十世紀'中間台木と似た生育特性を示し、生産性も対照より高かった。しかし、一部'長十郎'中間台木に似た生育特性を示すものもあり、冷夏年では腋花芽着生が劣る傾向を示した。また樹体及び主技による生育差が出やすい傾向が認められた。 (5)'新水'及び'早生赤'中間台木は、腋花芽分化率で'二十世紀'及び'長十郎'中間台より劣った。また、基準化剪定樹での比較では'新水'中間台は果実肥大、累積収量が'二十世紀'及び'長十郎'中間台木よりも劣った。なお、総合的には対照区である'幸水'中間台との差は明確ではなかった。 (6)以上の結果から'二十世紀'、'長十郎'、'マンシュウマメナシ'については、主幹部中間台木方式とすることによって総合的に生産性の向上が認められた。このことから'幸水'栽培においては、主幹部の形質が穂品種の生産性に大きな影響を及ぼすことが実証された。 (7)また、剪定方法は果重と腋花芽分化率に大きく影響する。従って平棚栽培におけるナシの生産性の評価にあたっては、仕立主枝本数、結果部割合、予備技割合、側枝密度及び主枝長/幹周比を剪定指標とする剪定基準を明確にすることが前提となる。 (8)収量は、側枝数(密度)と摘果による着果数の調整に依存することは明らかなので、中間台木の評価は、収量のみによっては不合理である。 (9)貯蔵養分を評価するための生育調査項目としては、主枝周及び肥大量、初期着果数、夏季剪定時の側枝基部の新梢調査(新梢数、新梢長、新梢葉枝比)が有効と考えられた。 (10)生産性を総合的に評価するための生育調査項目としては、収量、果重、糖度(硬度)、腋花芽分化率が有効と考えられた。収量効率は、幹周の生育特性が強く反映し、また収量は人為的な摘果量に依存するため、必ずしも総合的な生産性を示す指標とはなりえない。主幹断面積当たり収量は腋花芽分化率、果重と、また主枝断面積当たり主技収量は糖度との関連性で比較する場合に有効と考えられた。
索引語ナシ;台木;接ぎ木;生育
引用文献数31
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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