シカ食害の常習地域におけるツリーシェルターを用いた造林技術の検討

シカ食害の常習地域におけるツリーシェルターを用いた造林技術の検討

レコードナンバー702177論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00008014NACSIS書誌IDAN00173957
著者名廣澤 正人
書誌名研究報告
別誌名栃木県林業センター研究報告
Bulletin of the Tochigi Prefecture Forestry Center
発行元栃木県林業センター
巻号,ページ15号, p.1-27(2002-03)ISSN03899950
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抄録栃木県内では,森林地域に頻発しているシカの食害から植栽木を保護するため,ツリーシェルター(ヘキサチューブ及びプラスチック段ボール製ツリーシェルター等)が使用されている。そこで,ツリーシェルターに使用される材質や形状の違い,空気穴の有無による内部環境の違いを調査するとともに,それに付随したスギ苗木の初期成長促進効果を調べた。その結果,照度透過率が高く,断面積の小さい形状の方がツリーシェルターの内部が高温多湿になり,空気穴の面積が大きくなるにつれて内部の湿度が低下する傾向がみられた。また,ツリーシェルター内部でも,上部及び日なたであるほどに高い気温を示す傾向がみられた。また,ツリーシェルターの照度透過率が高く,空気穴が無いほうが生長が良い傾向がみられた。次に,スギを含む4樹種について,ツリーシェルターの種類,樹種の違いによる苗木に及ぼす影響について調査を行った。結果は,ツリーシェルターの種類,樹種によって多少の差はあるが,全樹種ともにツリーシェルターを使用することによって樹高生長が促進される傾向がみられた。反面,冬期にヒノキ,スギのツリーシェルター処理木に凍害による部分的な枯損がみられた。特にヘキサチューブ区のヒノキは地際を残してほとんどの部分が枯損してしまった。このことについては,初冬のツリーシェルター内部の気温上昇に伴う植栽木の耐凍性獲得の遅延によるものではないかと推測された。また,治山樹種4種についてもツリーシェルターの初期成長促進効果をみたところ,対照区と比べて樹高成長率が飛躍的に上昇する樹種もみられたが,ツリーシェルターと擦れることによって,主軸に傷が認められる個体もあった。更に,日光市,栗山村のシカ食害常習地に各種ツリーシェルターを設置して,食害防止効果,処理木の生育効果,ツリーシェルターの耐久性等を調べた。その結果,ツリーシェルターが脱落しなければ食害防止効果は発揮できたが,年数が経つ毎に,使用するツリーシェルターによっては脱落や破損が発生した。脱落については,支柱の種類や本数に留意する必要があると考えられた。また,風衝地等へ使用する際は,定期的なメンテナンス等の脱落対策も必要であると考えられた。破損したツリーシェルターについては,現在メーカーの方で耐久性を向上させ,対処しているとのことであった。樹種によっては,風等の影響によって枝の破損被害や,下枝の枯れ上がりや枯損がみられるものがあった。また,これらの被害発生率は,樹種毎に大きく異なるため,樹種によってはツリーシェルターの使用は難しいと考えられるものもあった。したがって,樹種毎のツリーシェルターの使用特性を明らかにすることによって,より適性に使用することが可能であると考えられた。
索引語種;効果;シカ;空気;スギ;促進;地域;形状;苗木;照度
引用文献数8
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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