抄録 | 伊豆半島東岸の定置網へのサンマ入網量を、房総以北の海域のサンマ資源豊度と東海海域における黒潮の離接岸に関するデータを使って重回帰式により表すことを試み、以下の結果を得た。1)伊豆東岸定置網へのサンマ漁獲量を目的変数、日本漁船による棒受網CPUE、野島埼、石廊埼及び御前埼それぞれからの黒潮離岸距離を説明変数とする重回帰式として、Y=54.48X1+1.79X2-2.04X3+1.82X4-128.59(Y:伊豆東岸定置網サンマ漁獲量()、X1:日本漁船による棒受網CPUE(/1操業)、X2:野島埼からの黒潮離岸距離(マイル)、X3:石廊埼からの黒潮離岸距離(マイル)、X4:御前埼からの黒潮離岸距離(マイル))を得た。2)得られた重回帰式は1%の水準で有意であり、修正済決定係数は0.5172、修正済重相関係数は0.7191であった。3)サンマの伊豆東岸大型定置網への入網は、房総以北から南下するサンマ資源の多少と伊豆半島周辺海域の黒潮流路により規定されているものと考えられた。4)重回帰式の回帰係数からは、伊豆東岸定置網におけるサンマ漁獲量は、黒潮流型がA型及びB型では高水準に、C型及びD型では低水準になり、N型ではその水準が大きく変動すると想定され、この結果は盛漁期である12月の実際の漁獲量と黒潮流路に良く一致していた。5)静岡県沿岸海域において、対象魚種の資源豊度に黒潮流路の情報を加えることによって、漁獲量や漁場形成などの漁況予測をより精度高く行える可能性があるものと考えられた。 |