畑雑草イチビの日本への帰化様式に関する分子生態学的研究

畑雑草イチビの日本への帰化様式に関する分子生態学的研究

レコードナンバー723349論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20008152NACSIS書誌IDAA11740161
著者名黒川 俊二
書誌名畜産草地研究所研究報告 = Bulletin of National Institute of Livestock and Grassland Science
別誌名Bull. NARO Inst. Livest. Grassl. Sci
Bulletin of NARO Institute of Livestock and Grassland Science
Bull. Nat. Inst. Livest. Grassl. Sci
畜草研研報
発行元農業技術研究機構畜産草地研究所
巻号,ページ6号, p.49-81(2006-03)ISSN13470825
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抄録イチビは,1980年代半ば以降急激にその分布を拡大し,飼料畑の最も厄介な帰化雑草である。こうした雑草による被害を防止するためには,その侵入経路を遮断することが不可欠であり,そのためには侵入過程を詳細に解明することが重要である。そこで本研究では,イチビの侵入源および侵入過程を解明することを目的として行った。世界収集系統と輸入穀物から検出されたイチビを用いて,形態および生育特性を比較するとともに,ISSRによる系統解析を行った。その結果,成熟さく果の色が黄白色(劣性)と黒色(優性)となる二種類の系統が見出された。輸入穀物から検出されたイチビは黒色で特に雑草性が強く,在来系統は,黄白色で作物的であった。この系統間差は,ISSR解析においても再現され,輸入穀物系統と在来系統は遺伝距離が大きく離れていた。母系遺伝する葉緑体DNAマーカーを開発し,二つのハプロタイプ(A,B)を見出した。このハプロタイプとさく果の色を組み合わせることによって,イチビを3つの遺伝子型(I(A,黄白色),II(A,黒色),III(B,黒色))に分類した。日本の栽培品種はType Iで,全ての輸入穀物混入系統群とアメリカコーンベルト系統はType IIIであった。日本の飼料畑系統のほとんどはType IIIであったが,一部Type IIに分類された。遺伝子型間の形態および生育の相違を見た結果,Type Iは作物的性質を現し,Type IIIは雑草性を現した。Type IIはその中間で,Type IとIIIの交雑後代であることを示唆した。時間的分布を明らかにするために,さく葉標本のDNA解析法を確立し,ハプロタイプ識別を行った結果,輸入穀物系統と同じハプロタイプBの標本が1893年から存在し,その後ほとんどの年代で存在していた。以上のように,雑草性の強い系統が確実に日本の港に到着している点,飼料畑で見られるイチビの大部分が輸入穀物に混入していたイチビ種子と同じ葉緑体DNAを持つ点から,日本全国の飼料畑のイチビは,輸入穀物を介した侵入過程を経て新たに外国から持ち込まれている可能性が高いと考えられた。しかしもう一つの帰化様式として,在来のイチビが何らかの原因で雑草化した可能性も残された。それらの帰化様式は,侵入過程での防除を考えるポイントが大きく異なることから,両帰化様式の可能性の検証が今後さらに必要であると考えられた。
索引語畑;雑草;日本;様式;分子;研究;分布;飼料;被害;侵入
引用文献数89
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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