資源配分からみたシラカンバの開花戦略

レコードナンバー
742091
論文タイプ
学術雑誌論文
ALIS書誌ID
ZZ00009360
NACSIS書誌ID
AN1005962X
本文言語
ja
著者名
真坂 一彦
誌名
北海道林業試験場研究報告
別誌名
Bulletin of the Hokkaido Forest Experiment Station ; Bulletin of the Hokkaido Forestry Research Institute
発行元
北海道立林業試験場
巻号ページ
44号,p.45-96(2007-03)
ISSN
09103945
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抄録
北海道に広く分布するカバノキ科Beulaceaeの風媒花高木種シラカンバBeula playphylla var.japonicaを対象に、その繁殖特性として、性比配分戦略と樹冠内配置戦略、そして豊凶現象について検討した。性比配分戦略の検討では、1)風媒植物が局所繁殖集団を形成し、2)受粉確率がポアッソン分布に従うという仮定の下にn人ゲーム・モデルに基づく性比配分モデルを構築し、その予測傾向と実際の観察値を比較した。その結果、性比配分モデルは繁殖資源が多くなるとともに、雌花だけを着ける雌相、雄花だけを着ける雄相、そして雄花数を一定にして残りの資源を雌花に配分する雄一定相を呈することを予測した。シラカンバのみならず、他の風媒花植物における観察値もこの予測傾向に沿った変化をしていたことから、今回構築した性比配分モデルは風媒花植物の性比配分戦略の骨格をよく説明していると考えられる。樹冠内での雌花序と雄花序の垂直分布に関する配置戦略の検討では、着花数が多くなるとともに雌花序が雄花序よりも樹冠上部に偏って分布する傾向が認められた。果穂1個と雄花序1セット(雄花序2-3個)の乾重レベルでの繁殖コストはほぼ互角であることから、着花数が多いときに雌花序が樹冠上部に偏って分布する傾向は、風散布種子がセーフ・サイトにたどり着く可能性を高めるための戦略であると推察された。また、樹冠内における一次枝レベルでの性比配分の傾向は、個体レベルでの性比配分と似たような傾向を示した。この結果は、個体がモジュラー構造による半自律的生理的統合体である可能性を強く示唆している。豊凶現象の検討では、1)前年の繁殖投資量が翌年の繁殖投資に負の影響を与える、2)花芽形成までの生育期間の気象条件が繁殖投資に正の影響を与えるという仮定の下に、資源収支モデルを構築し、その予測傾向と実際の観察値を比較した。また、他樹種の豊凶現象と変動係数CVを比較することで、シラカンバの豊凶戦略について検討した。その結果、資源収支モデルはシラカンバの豊凶現象を高い精度で予測できた。一方、先駆種であり小種子をもつシラカンバのCVは、同じ科に属し、極相種でシラカンバより大きな種子をもつクマシデ属CarpinusのCVより小さい傾向があった。この傾向は、CVの大きさには繁殖コストと栄養成長のコストが正の影響を与えるという理論的予測と一致した。この結果は、シラカンバのように種子がほとんど捕食されないような先駆種では、受粉が保証される限り、豊凶周期と変動幅を極度に大きくする戦略を採用する必要はないことを示唆している。
引用文献数
159
登録日
2011年3月5日
収録データベース
JASI ; AGROLib