東アジアにおける風水集落の景観構造及び風水樹に関する比較研究

東アジアにおける風水集落の景観構造及び風水樹に関する比較研究

レコードナンバー772252論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00015170NACSIS書誌IDAN00250548
論文副題琉球諸島及び先島諸島を事例として
著者名陳 碧霞
書誌名琉球大学農学部学術報告 = The science bulletin of the College of Agriculture, University of the Ryukyus
別誌名The science bulletin of the Faculty of Agriculture, University of the Ryukyus
発行元琉球大学農学部
巻号,ページ55号, p.25-80(2008-12)ISSN03704246
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抄録風水地理とは、土地の吉凶を判断する地相術のことで、古来より東アジア地域において、都城・宅地・墓地などの位置を確定するときに応用されてきた技術である。琉球の風水地理に関する研究は、これまで主に歴史・民俗・建築の分野で、歴史資料の分析や集落構造の解析という形で進められてきたが、大陸との比較研究はほとんどなされていない。本論文は、琉球の風水集落を事例に、とくに風水樹と風水景観に焦点を当て、その特徴について比較研究したものである。第1は、風水樹の利用の仕方である。韓国や中国では風水樹は象徴木としてとらえられ、樹種も常緑樹が幸運をもたらすとされる。樹種も主にクスノキ・ガジュマル・コノテガシワ(中国、香港)、アカマツ(韓国)などが利用される。一方、琉球国内では、風水樹は海岸域から集落・屋敷を囲む林帯とし、風向に対して実用的に配置されている。樹種もフクギ、テリハボク、リュウキュウマツ、アダンなどが機能別に植栽されている。第2は、集落を中心とした風水景観のつくり方である。韓国や中国の風水景観は、一般的に風水地形が「蔵風得水」の配置になっている。一方、琉球の場合は、屋敷林で囲まれた家屋を中心に、集落の北側は「腰当の森」、集落の南側は「抱護」の林帯、海浜側は「浜抱護」の林帯などで囲まれた重層配置になっている。これは冬の季節風と台風に対応したもので、大陸と島嶼という自然環境の違いに起因する。第3は、家屋を取り囲む屋敷林の存在の有無である。韓国や中国の風水集落には、各家屋を取り囲む屋敷林はほとんど見当たらない。琉球の風水集落の大きな特徴は、フクギで囲まれた屋敷林の存在である。その屋敷林の配置も、1屋敷囲みから4屋敷囲みタイプに分けられる。第4は、フクギ屋敷林が風向を意識して配置されていることである。HO CADによる密度分布を調べた結果、集落内の屋敷林は、北背南向の屋敷配置に合わせて、北側と東側と海岸側が広く厚く植栽されていることが判明した。これは冬の北風と台風に対応した配置といえる。第5は、各家屋を囲む屋敷林は、風水機能を高めるために、定期的に手入れされ維持管理されていることである。1m当たりの平均本数は渡名喜島で3.1本、備瀬で2.7本である。平均樹齢は渡名喜島で40年(最大179年)、備瀬で46年(最大266年)となっている。幼木から老木まで混交林立するが、これは適度に密度管理をしている結果である。第6は、集落内の道路が曲線になっていて、そのため交差点は直角になっていない。それに対応して屋敷林も組み合わされている。これらの配置は、風水理論の「蔵風」に特化したもので、吹き込む風をたくわえ、そのエネルギーを分散させる構造になっている。以上のように、琉球に応用された風水地理は、植林によって風水環境が整えられ、冬の季節風と夏の台風という厳しい自然環境によく適応し、その機能が極めて実用的であることから、韓国や中国の「地形大陸モデル」と比較して、本論文では「島嶼琉球モデル」として措定した。
索引語屋敷林;配置;集落;風水樹;冬;琉球;韓国;中国;風水集落;風水地理
引用文献数81
登録日2011年03月05日
収録データベースJASI, AGROLib

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