亜鉛の水質環境基準と強化された一律排水基準における課題

亜鉛の水質環境基準と強化された一律排水基準における課題

レコードナンバー772951論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00011887NACSIS書誌IDAN10165252
論文副題生態学的・実践的視点からの指摘
著者名岩崎 雄一
及川 敬貴
書誌名環境科学会誌 = Environmental science
別誌名環境科学会誌
発行元環境科学会
巻号,ページ22巻・ 3号, p.196-203(2009-05)ISSN09150048
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抄録2003年に日本で初めて、水生生物の保全に係る水質環境基準が全亜鉛について設定された。この環境基準の維持・達成を図るため、2006年に亜鉛の一律排水基準が強化された。本稿では、野外底生動物調査や聞き取り調査に基づき、亜鉛の水質環境基準及び排水基準の問題点を紹介した。エルモンヒラタカゲロウ等の生物への無影響濃度に基づく環境基準は、その策定過程から、本来の目的である生物個体群の保全を反映した基準とはいえない。また、野外調査結果によれば、この環境基準値を超えた地点でも実際の底生動物群集について顕著な悪影響が見られるとはいえない。一方、強化された亜鉛の一律排水基準は、社会的、経済的、技術的観点等に配慮されて設定されたと解釈できるが、この策定過程において複数の問題群も存在する。亜鉛はタイヤなど非点源排出源からの負荷が存在し、事業所の排水基準の規制を強化するだけでは、環境基準の達成は困難な場合があることが予測されている。休廃止鉱山が上流に位置する河川では環境基準値を大幅に超えた汚染地域が存在し、生物群集に顕著な影響が見られる。しかしながら、それら地点における重金属負荷のいくらかは自然起源によると考えられ、そのような場所での対策については議論が必要である。さらに、休廃止鉱山周辺の河川では生態毒性の強い亜鉛以外の重金属濃度が高濃度で存在していること、及び都市河川のような下流域においては亜鉛濃度が基準値を超えている地点の多くで生物化学的酸素要求量が高いことから、それら地点で亜鉛濃度だけを下げても、本来の目的である生態系の保全をはかることは期待できないことが予想される。これらの問題群を踏まえ、今後の基準策定のあり方について、水質環境基準と排水基準の関係、米国の水質浄化法における排水基準の個別的適用修正、及び順応的管理を取りあげて議論した。
索引語排水基準;環境基準;亜鉛;水質環境基準;強化;地点;存在;一律排水基準;保全;河川
引用文献数40
登録日2011年02月03日
収録データベースJASI, AGROLib

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