新潟県におけるコシヒカリのいもち病真性抵抗性マルチラインの開発と普及

新潟県におけるコシヒカリのいもち病真性抵抗性マルチラインの開発と普及

レコードナンバー792307論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00002091NACSIS書誌IDAA00653145
著者名石崎 和彦
書誌名Gamma field symposia
発行元Institute of Radiation Breeding, Ministry of Agriculture & Forestry
巻号,ページ47号, p.33-38(2010-05)ISSN04351096
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抄録コシヒカリは日本を代表する水稲粳米品種である。食味が良く地域適応性に優れ、高値で取り引きされることから、全国各地で広く栽培されている。しかしながら、いもち病に対する抵抗性が弱いため、これまで農薬による防除が不可欠であった。新潟県では、コシヒカリの持つ優れた性質はそのまま残し、いもち病に対する抵抗性だけを導入した12種類のいもち病真性抵抗性同質遺伝子系統(以下コシヒカリBLと略す)を開発し、2005年よりコシヒカリBLを構成系統としたいもち病真性抵抗性マルチライン(以下コシヒカリMLと略す)の普及を進めている。コシヒカリBLの開発には連続戻し交配法を用いた。コシヒカリ新潟BL1号、BL2号、BL3号、BL4号、BL5、BL6号、BL7号及びBL8号は、それぞれ、ササニシキ、トドロキワセ、PiNo. 4、新潟早生、越みのり、ツユアケ、とりで1号及びBL1を1回親として育成した。それぞれPia、Pii、Pita-2、Piz、Pik、Pik-m、Piz-t及びPibの真性抵抗性遺伝子を有する。また、コシヒカリ新潟BL9号、BL10号、BL11号及びBL12号はコシヒカリBL同士を交配して育成した。それぞれの交配組合せは、BL8号/BL1号、BL8号/BL2号、BL7号/BL2号及びBL7号/BL5号である。真性抵抗性遺伝子は、それぞれPib, a、Pib, i、Piz-t, i及びPiz-t, kを有する。いずれのコシヒカリBLも、いもち病に対する抵抗性以外は、従来のコシヒカリとの間に高い同質性が確認されている。マルチラインは、異なる抵抗性を持つ同質遺伝子系統を数種類混合して栽培する。2005年に実用化されたコシヒカリMLは、コシヒカリ新潟BL1号(Pia)、BL2号(Pii)、BL3号(Pita-2)及びBL4号(Piz)を、それぞれ10%、20%、50%及び20%混合したマルチラインである。いもち病に対して薬剤防除に匹敵する効果を示すことから、それまで概ね80~50%の水田で認められていた穂いもち病の発生は、2005年の県下一斉導入以降10%以下にまで激減し、マルチラインの導入が農薬に代わる有効な防除手段であることが実証された。また、県内で使用されたいもち病の防除薬剤は、普及前の2004年の出回り量を100%とすると、2007年には27%まで減少し、1年間に概ね15億円の防除経費が削減されている。新潟県では、安全・安心な農産物を求める消費者からの信頼を高めてもらうとともに、環境への負荷を軽減した生産方式の拡大を目的に、農薬の使用回数及び化学肥料の使用量を慣行栽培の5割以下に削減して栽培された農産物を特別栽培農産物として認証している。コシヒカリMLの普及が一つの契機となり、特別栽培農産物の作付面積は、普及前の2004年に6,166haであったものが、2007年には33,983haに急増した。現在、コシヒカリMLは、新潟県において環境保全型農業の核となる品種として大きく期待されている。今後、後続する各地域の主力品種のマルチライン化に、コシヒカリMLの事例が役立てば幸いである。
索引語コシヒカリML;コシヒカリ;いもち病;マルチライン;新潟県;いもち病真性抵抗性マルチライン;普及;抵抗性;Pia;Pita
引用文献数20
登録日2011年07月19日
収録データベースJASI, AGROLib

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