施設栽培のナス科果菜類における花粉媒介昆虫利用に関する研究

施設栽培のナス科果菜類における花粉媒介昆虫利用に関する研究

レコードナンバー811896論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20039517NACSIS書誌IDAA12515637
著者名飛川 光治
書誌名岡山県農林水産総合センター農業研究所研究報告 = Bulletin of the Research Institute for Agriculture Okayama Prefectural Technology Center for Agriculture, Forestry, and Fisheries
発行元岡山県農林水産総合センター農業研究所
巻号,ページ1号, p.91-144(2010-12)ISSN21858039
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抄録我が国の主要な果菜であるトマトやナスは施設内で栽培されることが多く,その場合には風や訪花昆虫による受粉が期待できず,開花持に化学合成された植物ホルモン剤を処理して着果を促進して生産されている.しかし,近年,食の安全・安心に対する消費者の関心の高まりに伴い,化学合成農薬の使用を削減するための新たな技術開発の必要性に迫られている.同時に生産者の高齢化や担い手不足から農作業の省力化に対するニーズも高い.着果促進のために,施設栽培ではこれまで植物ホルモン剤が使用されてきたが,近年花粉媒介昆虫による受粉が注目されている.我が国の冬春期の促成栽培トマトでは,北ヨーロッパ原産のセイヨウオオマルハナバチBombus terrestris Linnaeusが導入され利用されている. しかし,寒地系の花粉媒介昆虫である本種を栽培期間の大半が高温期に当たる夏秋期のトマトやナス栽培で,そのまま利用することは困難であった.そこで,巣箱を地下に埋設することで巣箱内の温度を低下させる地下理設法を考案し,高温期にセイヨウオオマルハナバチのコロニーを長期間維持することで,夏秋期の雨除け栽培トマトおよび半促成栽培ナスへの利用に道を開いた.さらに,高温期に稔性花粉量が減少するトマトでは,花粉生成量に及ぼす施設内温度の影響を解析し,夏期にセイヨウオオマルハナバチを利用できる時期や地域を判別できる回帰式を考案した.ところが,導入された施設から逃亡し,野生化したセイヨウオオマルハナパチの生態系に及ぼす悪影響を懸念し,2006年から「特定外来生物」として飼養が規制された.そこで,本種に代わる花粉媒介昆虫として,明治初期に導入された後ほとんど土着化がみられないセイヨウミツバチApis mellifera Linneと熱帯原産で我が国本土では越冬できず土着化が困難と考えられるキオビオオハリナシバチMelipona quadrifasciata Lepeletierの利用を検討した.セイヨウオオマルハナバチのような振動採粉ができないセイヨウミツバチの授粉能力は低く,作型に係わらずトマトでは利用困難であった.ナスでは低温期に稔性花粉量が減少するとセイヨウミツバチによる受粉効果が低下し,形状不良果が増加したが,稔性花粉量の十分な時期の施設ナスでは利用できた.キオビオオハリナシバチは振動採粉でき,セイヨウオオマルハナバチと同等の受粉効果があることを明らかにした.しかし,いずれの花粉媒介昆虫を利用しても,低温期に促成栽培ナスの稔性花粉量が減少すると受粉効果が低下した.そこで,少量の燃料消費でナスの稔性花粉量を効率的に増量できる昼間の高温管理法を発案し,実用的技術とした.さらに,低温期の利用が困難なセイヨウミツバチについて,保温性の高い空気膜ハウス内に放飼すると受粉効果が高まることを明らかにし,施設ナス栽培におけるセイヨウミツバチの周年利用に道を開いた.(以下略)
索引語施設栽培;ナス科果菜類;花粉媒介昆虫利用;研究
引用文献数81
登録日2012年12月06日
収録データベースJASI, AGROLib

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