宮城県におけるホタテガイ養殖生産と波浪などによる養殖施設動揺要因との巨視的関係

宮城県におけるホタテガイ養殖生産と波浪などによる養殖施設動揺要因との巨視的関係

レコードナンバー811929論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20000624NACSIS書誌IDAA11546908
著者名押野 明夫
書誌名宮城県水産研究報告
別誌名Miyagi Prefectural report of fisheries science
Miyagi Pref. Rep. Fish. Sci.
宮城県水産研究報告
宮城水産研報
発行元宮城県水産研究開発センター
巻号,ページ10号, p.45-62(2010-03)ISSN13464329
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抄録1999年度以降の宮城県と岩手県の共販実績の増減パターンは同じである。このことは養殖中のホタテガイ稚貝や成貝の成長と生残が何らかの海洋環境に影響されている可能性が示されたことから,最近12ヵ年の宮城県のホタテガイ生産重量の実績との波浪との関係を検討した。1) 宮城県漁業協同組合のホタテガイ共販実績 3ヶ月移動平均値は,2月の約700トンから9月の約1,300トンに向かってほぼ直線的に増加し,それ以降は減少傾向を示し年間合計は12,262トンであった。2) 見かけの波の鉛直速度 有義波高を周期の1/2で割った見かけの波の鉛直速度と最大風速との間には風速15 m/s以上の回数が多い月に相関が高まる傾向が認められた。3) 宮城県における生産量の低下と波浪との関係 12ヵ年平均値に対する生産量偏差は必ずしも当該年の波浪だけに影響されるものではなく,前年度の「激しい」波浪等も引き続き影響している可能性も推察された。また,ホタテガイは波浪などの動揺によって何らかの損傷を受けた後に直ぐに成長の停滞や斃死が起こる場合と,ある期間を置いてから目に見えた影響が出てくる場合,およびその両方によって,生産量が低下にする場合があると考えられた。4) 地種養殖における生産量の低下と波浪との関係 外洋向きの海域で地種を用いて養殖生産している場合,1ヶ月の間に波高6 m以上の「激しい」波浪と5 m以上の「やや激しい」波浪が複数回襲来した場合には必ず生産量偏差が大きく降下し,比較的穏やかな波浪が数ヶ月に亘って継続した場合には,生産量偏差が上昇していく傾向がほぼ例外なく見られた。さらに,宮城県全体の生産量の推移と波浪との関係と比較して明瞭な関係が認められた。5) 養殖漁場近隣海域における水深別海水流動状況 全体的には水深層が深くなるに従って流速が遅くなる傾向が認められ,海底までの水深,湾口部からの距離,海岸地形,海底地形などの違いによって流速の減衰パターンに差を生じると考えられた。また,波高が僅かながら高くなることにより2 m層(1/10)流速が速くなる傾向も窺われた。6) 海域の上層と中層の水温およびChl. a量の季節変化 気仙沼湾湾口部および女川湾湾口部の水温およびChl. a量について上層と中層で比較すると,秋季から初春にかけては差が小さく,この時期に養殖施設を下方に5 mおよび10 m深く下げても,成長が遅くなる可能性は小さいことを明示した。7) 養殖ホタテガイの安定生産に向けての対策 ホタテガイの生産量の増減が波高の高低等に影響されている可能性があることから,施設の水深を深くすることによって養殖施設の動揺を和らげ,ホタテガイの安定生産に繋げられる可能性があること,さらに,ホタテガイの成長と生残と環境要因との関係を科学的に検証するための試験研究が必要であることを提案した。8) 地種の質の改善 養殖用の地種の質が最近あまり良くないことも生産量低下の要因の一つと推定され,今後,ホタテガイ稚貝の品質と活力の向上のために健苗育成を目指して採苗段階からの作業工程を改善するべきと考えられた。
索引語波浪;関係;生産量;影響;可能性;ホタテガイ;傾向;成長;波;鉛直速度
引用文献数13
登録日2012年12月06日
収録データベースJASI, AGROLib

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