養殖ノリのスミノリ病に関する研究

養殖ノリのスミノリ病に関する研究

レコードナンバー813157論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00012373NACSIS書誌IDAN10412839
著者名川村 嘉応
書誌名佐賀県有明水産振興センター研究報告 = Bulletin of Saga Prefectural Ariake Fisheries Research and Development Center
別誌名Bull. Saga Prefect. Ariake Fish. Res. Dev. Cent.
佐有水試研報
発行元佐賀県有明水産振興センター
巻号,ページ16号, p.29-98(1994-03)ISSN09191143
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抄録本研究は、佐賀県有明海におけるスミノリ病の病徴、発生・被害状況、養殖環境について調べるとともに発生原因を疫学的、細菌学的な面から明らかにして、その防除方法を確立することを目的に行った。病徴については、肉眼観察では本病と正常ノリ葉体を区別できない年もあったが、多くの年で、手でつかむとひきが弱く、光沢がなく徒長気味であった。光顕観察では色素体や液胞が不明瞭でくすんだ茶色を呈し、細胞配列は不整で、細胞間隙も広かった。また、走査型電顕観察では、本病ノリ葉体およびスミノリの表面には凸凹がみられた。本病で必ず観察される病徴は、ノリ葉体を淡水に浸漬したときにみられる原形質吐出であることから、本病は吐出の程度によって症状を把握できることが明らかとなった。本病は冷凍網の張り込み後17日以内に、東部あるいは西部ノリ養殖場の沖合部から発生し、年によっては全域に蔓延した。本病は発生および被害状況から、細菌性疾病に近いものと考えられ、4つの被害型に分類された。発生と養殖環境との関係については、育苗期において、塩分が低い値を示し、その変化が大きく、全天日射量も少ないときおよび冷凍網張り込み後に短い干出時間で養殖されたときに発生する傾向がみられた。発生とノリ葉体付着細菌数、海水中の細菌数との関係については、前者が10 6~10 8個/gの水準、後者が10 4個/ml以上に増殖した時に発生しており、これらの間には相関関係があると考えられた。分離菌の接種による発症試験については、供試菌株の8菌株が原形質吐出症状を引き起こし、いずれも接種した菌株が再分離できた。したがって、これらの分離菌株は、本病を誘発する細菌であると考えられた。本病と同じ症状を引き起こした菌株は、Flavobacterium属の新種およびVibrio属に同定された。また、分離菌の産生物質によっても原形質吐出が誘発されることが確認され、本物質はアミノ基を有する1,000以下の低分子量の物質であると推定された。発生と病原細菌の消長との関係については、発症試験で著しい症状を起こしたFlavobacterium sp.(RS-5LY株)数が、10 8個/gの水準に増えたときに、原形質吐出率が高くなったことから、ここではRS-5LY株が病原細菌であったと考えられた。しかし、病原細菌がノリ葉体に付着していても発病しなかった。したがって、本病の病原細菌は、条件性細菌であると考えられた。本病を防除するためには、ノリ葉体付着細菌数を減らす必要があり、干出時間を長くする養殖方法および酸処理で効果があることが明らかとなった。
索引語養殖ノリ;スミノリ病;研究
引用文献数111
登録日2012年12月03日
収録データベースJASI, AGROLib

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