抄録 | トルコギキョウの花弁基部着色型覆輪品種も'トピックブルー'の覆輪花色の温度に対する反応を調査した。'トピックブルー'の着色面積率は35℃一定条件では約20%,20℃一定条件ではほぼ100%に増加した。花弁の色素濃度は,35℃の白色部はフラボノイドのみが6μmol g -1FW,着色部はフラボノイドとアントシアニンが約28μmol・g-1FWであったが20℃ではフラボノイドとアントシアニンが約60μmol・g -1FWと大幅に増加した。着色部と白色部の色素組成と濃度の違いと,覆輪着色面積が20℃一定条件で増加する温度反応がトルコギキョウで一般的な花弁先端着色型覆輪と同様であることから,基部着色型覆輪の白色部も先端着色型覆輪と同様の機構で色素生合成が制御されていると考えられた。一方,フラボノイドの多寡や花弁上の分布を反映する紫外光下における花弁の明暗像を指標として,白色の60品種の中から花弁にフラボノイドが確認できない品種'ブライドベル'を見出した。'ブライドベル'は,25℃と35℃一定での栽培条件では全個体白色花でフラボノイドの濃度は3μmol・g-1FW以下であったが,20℃では半数の個体で花弁の基部側または全体が淡桃色に着色し,着色部のフラボノイドの濃度は40μmol・g-1FWに増加した。純白色の花弁色素組成と濃度が基部着色型覆輪の白色部と同様であること,20℃で基部側に着色が生じることから,'ブライドベル'は通常の栽培環境では着色部が縮小して発現しない基部着色型覆輪系統から作出されたと考えられた。 |