ラマン分光法によるトリアシルグリセロールの構造および相挙動解析

ラマン分光法によるトリアシルグリセロールの構造および相挙動解析

レコードナンバー832492論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20008152NACSIS書誌IDAA11740161
著者名本山 三知代
書誌名畜産草地研究所研究報告 = Bulletin of National Institute of Livestock and Grassland Science
別誌名Bull. NARO Inst. Livest. Grassl. Sci
Bulletin of NARO Institute of Livestock and Grassland Science
Bull. Nat. Inst. Livest. Grassl. Sci
畜草研研報
発行元農業技術研究機構畜産草地研究所
巻号,ページ12号, p.19-68(2012-03)ISSN13470825
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抄録トリアシルグリセロール(TAG)は生体における主要なエネルギー貯蔵物質である。その多成分系である天然油脂は,食品や医薬品,化粧品などの工業製品に広く用いられる。工業的要請からTAG多成分系の相挙動については長い間研究が行われてきたが,その全貌は未だ明らかでない。天然油脂の複雑な相挙動について新たな知見を得るために,ラマン分光法を用いてTAG多成分系の相挙動解析をおこなった。はじめに,本研究の背景について述べた(第一章)。ラマン分光法はTAGの構造解析に最適の手法であり,多成分系を対象とするときにもその威力を発揮する。次に,TAGの構造と相挙動について最近の知見に重点を置いてまとめた(第二章)。結晶多形現象や"分子性化合物"形成などのTAGの興味深い相挙動について紹介し,それらの現象に影響を及ぼす結晶化条件などの要因についても言及した。また,TAGの各結晶多形より得られたラマンスペクトルについて,各相に特徴的な分子・結晶構造と関係付けながら詳述した(第三章)。長年に渡り蓄積された分光学的知見に基づき,ラマン分光法によりTAG結晶多形の詳細な構造解析が可能である。以上の章において述べた知見に基づき,TAG多成分系の構造と相挙動に関する二つの研究をおこなった。一つは分子性化合物を形成すると言われているTAG二成分系について(第四章),もう一つは広く工業的に利用されているいくつかの天然油脂について(第五章)である。これらの研究の結果,用いたTAG二成分系における分子性化合物の形成が確かめられ,その構造は過去の報告と異なるものであった(第四章)。このことは,分子性化合物の構造は結晶化条件の影響を決定的に受けていることを示唆し,これまで液相においても存在すると考えられてきた分子性化合物は,おそらく結晶化の過程で動的に生成する構造であるためと考察された。また分子性化合物は,これまでその形成が確認されているモデル二成分系においてだけでなく,天然油脂においても形成されていることを示唆する結果が得られた(第五章)。また,ラマン分光法を用いて相挙動の違いを検出することで,天然油脂の由来を判別できることを明らかにした(第五章)。最後に,TAGの構造および相挙動についてさらに理解を深めるためのラマン分光法を用いた研究の展望について述べた(第六章)。近年の分光器の発達はTAG多成分系の研究に明るい可能性をもたらしており,ラマン分光法が天然油脂の相挙動の全貌解明に大いに貢献すると期待される。
索引語TAG;構造;ラマン分光法;相挙動;天然油脂;研究;分子性化合物;形成;トリアシルグリセロール;TAG多成分系
引用文献数130
登録日2013年10月08日
収録データベースJASI, AGROLib

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