新規単為結果性ナスの着果および果実発達機構の解明

新規単為結果性ナスの着果および果実発達機構の解明

レコードナンバー833964論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00002091NACSIS書誌IDAA00653145
著者名菊地 郁
宮武 宏治
福岡 浩之
書誌名Gamma field symposia
発行元Institute of Radiation Breeding, Ministry of Agriculture & Forestry
巻号,ページ49号, p.51-55(2012-05)ISSN04351096
全文表示PDFファイル (353KB) 
抄録野菜茶業研究所ではヨーロッパの単為結果性ナス品種'Talina'の単為結果性を日本型ナスに導入する事で新規の日本型単為結果性ナスを育成した。この新規単為結果性ナスは'Talina'よりも正常果の結実率が高い傾向がある事が分かった。そこで固定系統の中でも特に高い結実率を示す'AE-P03'系統について'Talina'と日本型交配親の'中生真黒',非単為結果性ナス'LS1934'等と結実率の比較を未受粉条件で行った。その結果'Talina'は着果した果実は正常に肥大するが,その着果率は日本型のナスに比べて著しく低い事,'中生真黒'は着果した果実はその後正常に肥大しないが,着果率は高い事,そして両者を交配親にもつ'AE-P03'は着果率も高く,着果した果実も正常に肥大する事が明らかになった。この事から'AE-P03'の単為結果性には高着果性と果実肥大性という異なる形質が関与していると推察した。ナスはオーキシンによって単為結果が誘導されることから,'AE-P03'と'LS1934'の開花時における内生IAA量の測定を行った。しかし両系統間に差異は見られなかった。'AE-P03'の未受粉果実は受粉果実と比較して肥大開始時期が遅い事から,果実が肥大し始める開花後9日目に測定を行ったところIAA量は上昇した。この事からIAA量の上昇が果実肥大に関与している可能性が示唆された。しかしナスの落花は開花前後に引き起こされる事が多く,着果との関連性は不明なままであった。そこで着果時における他の植物ホルモンについても定量を行ったところ,'AE-P03'ではABA量が低下している事が明らかとなった。これらの結果から'AE-P03'の着果にはABA量の低下が,果実肥大にはIAA量の上昇が関与していると推察した。'AE-P03'の単為結果過程にはABAとIAA,あるいは複数の植物ホルモンによる精密な制御関係が関与している可能性が考えられたので,マイクロアレイを用いた綱羅的な遺伝子発現プロフィール分析を行い'AE-P03'特異的な遺伝子発現と植物ホルモンとの関連性の解明を試みた。'LS1934'の子房に種々のホルモン及びそれらの阻害剤を施用し発現が変動する遺伝子群と'AE-P03'の結実過程で特異的に発現する遺伝子群との比較解析を行った。その結果'AE-P03'特異的な遺伝子発現プロフィールにはオーキシン,サイトカイニン,ブラシノライドが正方向に,ABAが負の方向に関わっていることが示唆された。これまでに'AE-P03'の単為結果性は主に3つのQTLが関与している事を明らかにしており,現在これらQTLを'AF-P03'に置換した染色体部分置換系統群(CSSLs)の育成を行っている。今後はこのCSSLsを解析に用いる事で,着果と果実肥大に関するより詳細な機構を明らかにしたいと考えている。
索引語着果;IAA量;果実;関与;肥大;新規単為結果性ナス;ナス;果;Talina';オーキシン
引用文献数21
登録日2013年10月08日
収録データベースJASI, AGROLib

論文アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat