イネ種子形を制御する遺伝子群の研究

イネ種子形を制御する遺伝子群の研究

レコードナンバー833966論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00002091NACSIS書誌IDAA00653145
著者名岩崎 行玄
井沢 有希
香野 みずき
安部 優樹
三浦 孝太郎
書誌名Gamma field symposia
発行元Institute of Radiation Breeding, Ministry of Agriculture & Forestry
巻号,ページ49号, p.71-76(2012-05)ISSN04351096
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抄録穀物の収量は,種子の大きさ,穂当たり種子数,穂数,栽培条件など,多様な要因の総和として決定される。私どもは,このような要因の内,種子形に着目し,種子形を決定するメカニズムの解明を進めている。種子形研究のアプローチとして,はじめに,種子形を規定する主要な遺伝子群を見出すことが重要と考え,80系統を超える粒形変異体(small and round seed mutant,srsと略す)を収集し,42系統をラフマッピングにより解析し,異なる遺伝子座に座上する6種類の新規な粒形制御遺伝子の存在を見出した。現在までに明らかにされた種子形を制御する遺伝子は,ブラシノステロイド(BR)シグナリングと3量体Gタンパク質シグナリングに関与する遺伝子である。ここに,新規な6種類の粒形制御遺伝子が加わることにより,種子形を制御するためのメカニズムの理解が深まることを期待している。種子の縦方向の細胞数を制御する遺伝子:3量体Gタンパク質αサブユニット(Gα)遺伝子(D1 or RGA1)が欠失すると,外頴,節間,葉鞘などにおいて,細胞長は野生型と同じであるが,細胞数が約半減していた。この結果より,3量体Gタンパクαサブユニット遺伝子は細胞数を正に制御する遺伝子と考えた。種子の縦方向の細胞長を制御する遺伝子群:(A)BR関連変異体,d2-2とd61-2の外頴の内表皮の細胞長を,SEMを用いて観察し,細胞数を見積もったところ,両者とも,細胞長が短くなることが原因で種子が小さくなることが示された。細胞数は野生型と同じであった。以上の結果より,BR関連変異体は細胞長を正に制御する遺伝子と考えた。(B)新規粒形制御遺伝子SRS3は,キネシン13タンパク質をコードする。この遺伝子欠失変異体,srs3は,細胞長が短くなることが原因で種子が小さくなることが示された。以上の結果より,BR関連遺伝子と同様にSRS3遺伝子は細胞長を正に制御する遺伝子と考えた。なお,BR関連変異体d61は,節間や葉鞘の伸長において,細胞長を正に制御するとともに,細胞分裂方向の異常を介して細胞数を制御することが報告されている。よって,これらの遺伝子は,器官間で機能発現に相異がある可能性がある。イネGα遺伝子を恒常的活性型に改変した遺伝子(QL)を,イネに導入した場合,形質転換イネの種子が大きくなることを見出した。Pennellらのグループは,トウモロコシ由来のBR生合成に関与するP450(Zm-CYP-1)をイネに導入したところ,種子重量が増加することを見出した。これらの結果は,種子形制御遺伝子の利用は,収量を増大することを示唆した。今後も粒形制御遺伝子群の同定を進め,これらの遺伝子を機能に基づいて,種子形の形成機構の理解を深めたいと考えている。種子形を制御する新しい遺伝子の同定は,この目的を達成する上で重要な研究と考えている。
索引語遺伝子;制御;細胞長;種子;種子形;結果;遺伝子群;外頴;節間;研究
引用文献数17
登録日2013年10月08日
収録データベースJASI, AGROLib

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