川俣湖(人工湖)におけるヒメマスに関する生態学的研究

川俣湖(人工湖)におけるヒメマスに関する生態学的研究

レコードナンバー834383論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00014120NACSIS書誌IDAN00393090
著者名若林 務
村山 忠
鈴木 正臣
叶木 彦治
渋谷 隆之
書誌名栃木県水産試験場研究報告
別誌名Bulletin of the Tochigi Prefectural Fisheries Experiment Station
発行元[栃木県水産試験場]
巻号,ページ6号, p.1-26(1975)ISSN13408585
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抄録1. 1969年以降ヒメマスが放流されてきた川俣湖について、その物理的、化学的性状を明きらかにし、それらとヒメマスの生態との関連について言及した。2. 川俣湖の水位の最高は標高976m、最低は930mであって、5月に最高、9月、10月に最低を記録する。夏季停滞期の表面水温は約25℃前後であり、第1次水温躍層が5m付近に形成されるがさほど顕著ではない。しかし、ダム取水口に起因する第2次水温躍層は、極めて顕著であり、水温傾度は、1.6℃/mであった。同じく夏季停滞期におけるDOは、水深10m以浅で100%以上であるが、それ以深で漸減し、第2次水温躍層付近では40%前後となっていた。3. NH4-N、NO2-N、NO3-N、PO4-P等の栄養塩類は、1971年~1974年までの結果では、増加は認められなかった。4. 川俣湖におけるプランクトンの総出現数種は、1964年で27種、1975年で27種と増加は見られなかったが、1974年以降、Pandorina morum,Eudorina elegaus,Polyphemus pediculus,Oscillatoria sp. 等富栄養水域に出現する種がみられるようになり、湖沼栄養型は湛水当初の貧栄養型から中栄養型に移行しつつあると推測された。また、ヒメマスの主餌料となるDaphnia longispinaは湛水当初から優占的に出現していた。5. 1969年以降川俣湖に放流されたヒメマスが初めて採捕されたのは、1971年7月であった。これで同湖におけるヒメマスの定着が確認された。そこで1971年秋~1975年秋にかけてヒメマス親魚の採捕採卵試験を実施した。ヒメマス親魚の成熟年令をみると、1973年以降では主群は2+(3年魚)であり、これに若干の♂1+(2年魚)がみられる程度であった。次に、親魚体型だが、1971年では体長29cm、体重400g程度であったが、年を経るにしたがい小型化し,1974年では体長26cm、体重270~290gとなった。しかし、1975年に入り2+で体長約30cm、体重約390g程度にまで達し、良好な生長を示した。6. ヒメマス親魚の溯上状況と湖水環境を調査した結果、1974年を除いて各年次とも溯上のピークは湖表面水温が16℃~17℃になる時にみられ、15℃を下まわるとほとんど溯上がみられなくなった。溯上開始はおおむね9月10日前後の水温19~20℃になる頃であった。また、上記の水温帯において、湖水位の減少があると、著しく湖上が抑制される傾向にあった。7. 自然繁殖魚の有無を確認するために、1975年に採捕されたヒメマスの標識について調査したところ、無標識魚は、61尾中、1尾のみであった。この魚の鱗の鱗径、輪紋数について検討したところ、標識魚との間に有意の差がみられた。8. 1975年に実施した垂直刺網を用いた漁獲試験結果から、ヒメマスの生長、夏季遊泳層についてまとめた。生長:1973年に放流した脂鰭+右胸鰭切除群と、脂鰭+左腹鰭切除群とでは、放流時サイズに違いがあり、その影響は1年目で顕著であったが、2年型ではその差も縮まり、3年目ではほぼ同一の魚体型となった。1974年放流群の生長は、2年目に非常に良好で、この期間(2年目)の生長量としては、今までの最高を記録した。夏季遊泳層:ヒメマスの夏季における遊泳層は、およそ6℃~16℃の水温層にみられ、その分布の中心は10℃~13℃であった。川俣湖のヒメマスの遊泳層は多分にダム取水口によって形成された第2次水温躍層により制限されていることが判明し、水温の上昇、水位減少がそれをより助長することがわかった。
索引語ヒメマス;脂鰭+右胸鰭切除群;脂鰭+左腹鰭切除群;川俣湖;生長;夏季停滞期;遊泳層;放流;ヒメマス親魚;溯上
引用文献数18
登録日2013年10月08日
収録データベースJASI, AGROLib

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