蚕の飼育条件と作柄の関係

蚕の飼育条件と作柄の関係

レコードナンバー842055論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20008669NACSIS書誌IDAN00366054
著者名竹内 好武
志村 幸夫
森本 彰
原田 稔
書誌名蠶絲試驗場彙報
別誌名Technical bulletin of Sericultural Experiment Station, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries
Technical bulletin of Sericultural Experiment Station
蚕糸試験場彙報
発行元農林省蠶絲試驗場
巻号,ページ90号, p.1-38(1968-07)ISSN03853594
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抄録蚕の作柄に最も関係の深い軟化病の内容が著しく解明された現時点に立脚し,蚕の飼育条件と作柄の関係わけてもその生死の関係を追究した.すなわち日1254号と支124号×日124号の2品種を用い,栄養や気象などが著しく不良な飼育条件と蚕の作柄の関係について同一設計により,東北(福島市),中部(松本市),および関西(綾部市)の3支場と養蚕部(前橋市)の4ヵ所において1965年から2ヵ年6蚕期にわたって試験を行いつぎの結果を得た.1 試験条件は蚕の1~3齢と4~5齢の各発育時期別にそれぞれ給桑量の規則(春蚕期)または摘葉部位による桑の葉質(初・晩秋蚕期)を要素とした栄養条件,1~3齢は26℃と30℃,4齢は24℃と18°または20℃,5齢は22℃と28℃とする温度条件および1~3齢はパラフィン紙被覆とビニールによる密閉,4~5齢は無蓋とパラフィン紙被覆による蚕座上面の空気組成を要素とした3条件をそれぞれ総合して組合せた良と不良の2条件を設定した.2 1~3齢の不良条件各区は,蚕座上面のCO2濃度が給桑直前に1齢6%,2,3齢10%を越えた場合があるほど空気組成は悪化して,蚕の発育経過は良条件(26℃)に比べて飼育温度が高温(30℃)であったのに2,3齢はかえって遅延した場合が多く,発育が著しく不斉で,体重もはるかに軽い場合が多く,蚕期や試験場所によっては5眠蚕が高率に出現した.そしてこのような傾向は支124×日124号より日124号において顕著であった.なお5眠蚕の出現には1齢期の栄養条件が既に大きく関与することが認められた.3 4~5齢の不良条件の各区は,蚕座上面のCO2濃度はパラフィン紙被覆のため1.0%を越えた場合があり,良条件に比べ熟蚕体重が著しく軽い,繭が小さく,繭重・繭層重も著しく軽くなり,繭層歩合も低下した.4 1~3齢および4~5齢の設定した不良条件はともに蚕の生存率を低下させ,その程度は支124号×日124号では軽微であるが,日124号においては著しく,また不良条件の生存率低下に及ぼす影響は4~5齢の方が1~3齢におけるよりも大きい傾向が認められた.また1~3齢と4~5齢をともに不良条件で飼育すると,蚕の生存率がさらに低下してその程度は日124号で著しいが,支124号×日124号では4齢から化蛹までの生存率が80%を下回る例は僅少であった.5 不良飼育条件によって蚕の生存率が著しく低下した場合の主な病蚕は起病性のある軟化病,膿病,中腸型多角体病および膿病と中腸型多角体病の併発型のうち一つまたは二つ以上で,起病性が認められないF型軟化病だけの例は少なかった.6 試験実施に当たっては消毒の徹底と飼育中における感染防止に十分留意したが,なお伝染性蚕病病原が多少とも存在したことが推定された.7 以上の結果から本試験で設定したような不良飼育条件は各種の伝染性蚕病の病気誘発の要因となることが認められ,蚕の作柄は栄養や微気象環境の良否とそこに存在する各種の伝染性蚕病病原の多少の相互的な関係に支配されることを認めた.
引用文献数15
登録日2013年10月11日
収録データベースJASI, AGROLib

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