乳汁および血清成分の抗原性およびその比較検討

乳汁および血清成分の抗原性およびその比較検討

レコードナンバー842809論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00013929NACSIS書誌IDAN00121352
著者名鴇田 文三郎
高橋 富士雄
書誌名信州大学農学部紀要
別誌名Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University
発行元信州大学農学部
巻号,ページ4巻・ 2号, p.181-198(1967-09)ISSN05830621
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抄録高分子性物質の微量確認,あるいは活性構造の比較検討などの方法として,免疫化学的手法はより鋭敏でかつ特異的であることから,近年乳汁成分の乳腺内生合成機構の解明にも利用されつつある。著者らは乳汁利用の観点から,その種属間の比較および加工過程の諸変化の検討に,この免疫化学的反応を応用した一連の実験を行っている。本報はその初報で,実験の方法も含めて人乳,牛乳および人血清,牛血清の抗原性およびその関連性について実験した結果である。1.免疫動物として熟成家兎を用い,抗原はFreundの完全Adjuvantに調整し,筋肉内に注射する方法が最も効率のよい,また安全な抗原体を産生する方法である。なお,乳清および血清成分が抗原として高い抗体価を与える傾向を示した(Table 1.)。2.寒天内二重拡散法を用いた抗原-抗体沈降反応により,人および牛の乳汁と血清中に,それぞれ数種の抗原性物質の存在が認められた。また,これら乳汁成分の内のいくつかは血清成分と免疫学的に関連性があり,その1つは同一物質であることも認められた。しかし,牛乳と人乳,牛乳と人血清,人乳と牛血清,あるいは人血清と牛血清との間の成分には免疫学的な関連性が認められなかった(Fig. 1)。3.免疫電気泳動法による沈降図から,人血清および牛血清中に非常に多くの抗原性物質が認められ,また,この両者のパターンは比較的よく類似している(Fig. 2)。この種の実験は古くから行われてきたもので,本実験の結果もよくそれと一致する。なお,この結果を基礎的沈降図として以下の実験の検討に用いた。4.人乳中に約13種類の抗原性物質が認められ,その内少なくとも8~9種類の成分は人血清のそれと抗原性において関連性がある(Fig. 3)。また,牛乳中にも約12種類の抗原性物質があり,その内の6種類が牛血清のそれと関連性がある(Fig. 4)。すなわち,血清内物質の6~7種類の構造はそのまま乳腺を通過して,あるいは同一構造に再合成されて牛乳成分になると考えられる。5.人により得た抗原,すなわち,人乳および人血清中の成分と牛より得た抗原,すなわち,牛乳および牛血清中の成分との間には,免疫電気泳動法によっても沈降線が認められなかった。すなわち,この結果は二重拡散法と全く等しい結果である。換言すれば,免疫学的に関連性がないと云うことになる。6.種々の化学的方法により調整した牛乳成分と抗牛乳血清に対する免疫反応により実験した。その結果,各画分の沈降線の位置が確認された(Fig. 5,Table. 2)。また,α-カゼイン,免疫グロブリンの精製は非常に難しいことも認められた。人乳についても同様の実験を行ったが,その成分の精製法は検討されるべき今後の課題であるように思う。7.人乳および牛乳のDEAE-セルローズカラムクロマトグラムを求めた(Fig. 6, 7)。その結果,人乳成分は比較的低食塩濃度部分に流出することが,牛乳成分と比較して確認された。さらに,これら各ピーク画分は必ずしも単一の抗原性を示さなかった。
索引語成分;実験;人乳;関連性;Fig;抗原;牛乳;検討;内;抗原性
引用文献数51
登録日2014年03月25日
収録データベースJASI, AGROLib

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