二十世紀ナシの特殊整枝法における異常葉の発生に関する研究

二十世紀ナシの特殊整枝法における異常葉の発生に関する研究

レコードナンバー842819論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00013929NACSIS書誌IDAN00121352
著者名熊代 克巳
書誌名信州大学農学部紀要
別誌名Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University
発行元信州大学農学部
巻号,ページ4巻・ 4号, p.331-395(1967-12)ISSN05830621
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抄録1.長野県伊那地方において,近年,二十世紀ナシに桃沢匡勝氏の提唱した新しい整枝法を採用したところ,植付け後3年目ごろから異常葉が発生し,いったん発生した枝は以後永続的に異常葉を発生し続けて生長が劣るために,樹形の完成および生産に著しい支障をきたすようになった。この障害は,異常生長あるいは変葉病と俗称されており,その後桃沢式整枝法の普及に伴って全国的に発生がみられるようになった。本報告は,その症状,発生の条件,原因および対策などに関する研究をまとめたものである。2.異常葉の代表的な形態は,早くから毛がなく,葉身が細く肉厚で,葉質がかたく,そして不鮮明なモザイク症状が認められる。内部組織の異常は表皮の付近に限られており,通導組織などに異常がなく,また染色体数にも変化がない。なお,新梢上の葉がすべて異常を呈するのではなくて,基部の葉は正常であり,8~10節目から急に異常葉が発生し,毎年このような経過を繰り返す。異常葉の発生した部分に成った果実には,部分的に果点を欠いたりさび状の条斑を有するものがあるが,食味には変化がない。3.桃沢式整枝法の採用いかんにかかわらず,要するに,二十世紀ナシの枝がおう盛に生長した場合にその翌年から異常葉が発生し,そして発生部位はおう盛に生長した枝の先端部に限られている。したがって,完成樹形を桃沢氏の提唱する形にしたい場合でも,その育成過程において,枝を極端に伸ばし過ぎないようにし,伸び過ぎた枝は切返し剪定することによって,異常葉を発生させることなく目的を果たすことが可能である。4.二十世紀以外の品種には,枝をいかに長く生長させても,異常葉は発生しない。また,二十世紀では,採穂母樹,台木および中間台の相違とは関係なく発生する。5.異常葉の症状は,汁液伝染をしないし,また,異常枝を接木すると接穂からは異常葉が発生するが,他の部位へは伝染しない。異常枝は永続的に異常葉を発生し続けるが,枝齢を重ねた古い部分から徐々に正常に回復する傾向がある。6.肥料三要素,亜鉛およびホウ素の施用と異常葉の発生との間には直接的な関係は認められない。ただし,珪カルの施用は異常葉の発生率をわずかに低下させる効果を有する。7.B995の散布は,枝の伸長を抑制することによって異常葉の発生率を低下させる。カイネチンおよびジベレリンは,正常葉の生長を促進するが,異常葉の回復には効果がない。8.ガラス室内では,枝をいかにおう盛に生長させても異常葉は発生せず,また異常葉の回復が著しく促進される。ファイロンおよび油紙による被覆もほぼ同様の効果が認められるが,寒冷しや,ビニールおよびポリエチレンによる被覆はまったく効果がない。これらの結果から,波長310mμ以下の紫外線の照射と異常葉の発生とが密接な関係にあることが推察される。夏期に枝の先端部の摘葉を行うと,紫外線の影響を回避して異常葉の発生率が低下する。9.おう盛に生長した枝の先端部の葉は異常葉と同様に,ポリフェノール性物質の含量がきわめて高く,また等電点が低いので,これらの検査を行うことによって,翌年の異常葉の発生予察が可能である。
索引語異常葉;発生;枝;生長;葉;効果;二十世紀ナシ;先端部;関係;回復
引用文献数64
登録日2014年03月25日
収録データベースJASI, AGROLib

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