プランクトンの水塊指標性に就いて

プランクトンの水塊指標性に就いて

レコードナンバー843883論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ20004301NACSIS書誌IDAN00167397
著者名木村 喜之助
小達 和子
書誌名東北海区水産研究所研究報告
別誌名東北海区水産研究所研究報告
巻号,ページ10号, p.1-16(1957-11)ISSN 
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抄録本報文ではプランクトンの水塊指標性の信頼度或は指標性の強弱に就いて吟味した。資料は昭和25年~27年の3ヶ年東北海区の海洋調査に際して採集された動物プランクトンの中、特に採集量の多かった10種を選んで吟味した。水塊指標性の吟味は採集点の表面水温と100m層水温の両方を用いて行われたが、寒流指標種と見られるものでは表面水温と採集量の関係はあまり明瞭でなく、100m層水温との関係によって指標性の強弱迄具体的に吟味する事が出来た。即ち採集水温を1℃毎の水温階層に区分し、各水温階層毎に採集されたプランクトンの総個体数を採集回数で割って、各水温階層の1回平均採集個体数を求め、その対数値を縦軸に、水温を横軸にとってグラフを作ると、寒流指標性プランクトンは高温になる程採集個体数が減少し、グラフの上では近似的に直線で代表させる事が出来る。即ち各水温階層の平均採集個体数nと水温tの関係を下記の式にあてはめて考える。 n=C 10 kt 此処でCは常数(0℃台の階層の平均採集個体数)、kは温度による採集個体数の変化を示す係数(採集係数と略称する)で、此のkの値が寒流性プランクトンでは負数になり、kのマイナスの数値の大きい程指標性が強いという事になる。此の方法で吟味すると <Calanus plumchrus k≒-0.16 Calanus cristatus -0.16>最高位 寒流指標性 <Eucalanus bungii -0.10 Metridia lucens -0.05~-0.11 Themisto sp. -0.08>次位 寒流指標性 <Calanus helgolandicus -0.05>甚だ弱い 寒流指標性 但し、上記のプランクトンの採集個体数と表面水温との間には殆ど相関は認められないが、Eucalanus bungii丈けは表面水温が高くなると採集個体数が幾分減少する傾向を示している。暖流指標性プランクトンは採集個体数の対数値と水温の関係に於いて、当然kが(+)の値をとる筈である。Doliolum sp.は表面水温・100m層水温の両方に対してk=+0.04程度であるから、暖流指標性と云える。Muggiaea atlanticaとSagitta enflataは表面水温に対して夫々k≒+0.06及びk≒+0.04をあてはめ得るが、100m層水温に対しては前者は5℃台に於いて、後者は8℃台に於いて最多採集個体数を示し、それ以下の水温ではkは両種共に+0.20程度の大きい値を示すが、それ以上の水温ではk≒-0.06になる。此の両種も一応暖流性と考えられるのであるが、下層水温に対する此の様な性質から見て、条件付暖流性と呼ぶ事にした。Muggiaea atlantica及びSagitta enflataが100m層水温の5℃台と8℃台に於いて最多採集個体数を示す事、或は表面水温に対しては、Doliolum sp.が17℃~20℃台で頗る採集量が多く、Muggiaea atlanticaも17℃~20℃台の採集量が多いという事は、此の水温帯が夏季親潮前線の水温に相当する事から、結局親潮前線の収歛性によって前線へ多量に集められたものと考えられ、前線の収斂性は表層に於いて見られるのであるから、之等のプランクトンは表層プランクトンであると云う事になる。之に反して寒流性プランクトンは親潮前線以南の東北海区では下層に多いから、表面水温とは相関を示さないのである。以上指標性を吟味した9種のプランクトンの外に、もう1種東北海区で重要なEuphausia pacificaに就いては、之は表面水温に対しても100m層水温に対しても全く指標性が見られない。
索引語水温;採集個体数;表面水温;指標性;採集;プランクトン;吟味;値;関係;水塊指標性
登録日2014年08月22日
収録データベースJASI, AGROLib

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