火山灰土壌の果樹に対するリン酸の肥効に関する研究(1)

火山灰土壌の果樹に対するリン酸の肥効に関する研究(1)

レコードナンバー845019論文タイプ学術雑誌論文
ALIS書誌IDZZ00016679NACSIS書誌IDAN00142421
論文副題ナシ実生樹および未結実樹に対するリン酸の影響
著者名吉岡 四郎
安間 貞夫
大野 敏朗
野田 健男
書誌名千葉県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Chiba-Ken Agricultural Experiment Station
別誌名千葉農試研報
Bull. Chiba Agric. Exp. Stn.
Bulletin of the Chiba Prefectural Agricultural Experiment Station
発行元千葉県農業試験場
巻号,ページ8号, p.1-26(1968-03)ISSN05776880
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抄録1. 千葉県内火山灰土台地の果樹に対するリン酸の肥効検討の一環として,ナシ若令樹に対する影響を追求した。2. 試験は実生樹および1~2年生までの幼木に対するリン酸(過石)の肥効,新根の発育に及ぼす影響,リン酸とチッソの相互効果,および対照として沖積層土壌におけるリン酸の肥効などの諸項目にわたり,1960年より1963年にわたって実施された。3. 火山灰土壌におけるリン酸(過石)の施肥効果を総合して要約すると次の通りである。(1)効果は表土区,心土区,いずれにおいてもみとめられたが,通常の施肥量では効果が低く,リン酸吸収係数相当量付近でとくに顕著であった。(2)生育量に及ぼすリン酸多施効果は顕著であったが,実生1年目>実生2年目>幼木(接木苗)1年目>幼木2年目の順で,若令樹ほど,小個体ほど効果が高かった。このことは,岩令樹ほど,小個体ほど貯蔵P成分が少なかったためと考えられる。(3)リン酸多施によって花芽は顕著に増加した。(4)地上部の形態的特徴として,P当量区(リン酸吸収係数相当量)では1年生枝の基部近くまで花芽を形成し,とくに幼木1年目では節部が凸出して充実した形態を示した。幼木2年目では中庸な長果枝の割合が高く,揃いがよかった。これは無P区で中庸な枝の割合が比較的低く,長大または弱小枝の割合が高く、樹姿が極めて徒長的であったのと対照的であった。(5)P当量区では地下部の発達がよく,細根の分布が密であった。とくに実生1年目では,P当量区のみに毛細根の顕著な増加がみとめられた。また幼木では無P区で根の分岐が少なく,先へ走っていたことと対照的であった。(6)葉内成分含量は,リン酸施肥量の増加にともなってP含量が高くなったが,N含量も増加し,PとNの間に相助的な傾向がみられた。また,Caも多くの場合増加した。(7)1年生枝および根部の成分含量は,幼木では葉と同一傾向であったが,実生2年目ではPとNの含量が葉とは逆に,無P区の方がP当量区より高い場合が多かった。この現象はP当量区と無P区の生育量の差が顕著な場合にあらわれ,稀釈作用の影響と解された。(8)幼木2年目の長果枝の上半部,下半部別のP含量には興味ある結果があらわれた。各区共通して上半部が下半部より高かったが,P当量区では上半部と下半部の差が小さく,何れも高いレベルにあった。P多施区(リン酸吸収係数の1/10)では上半部が比較的高く下半部との差が大きかった。無P区では上下ともに低いレベルで,しかも上下の差が大きかった。細根のP含量もP当量区が高く,無P区は著しく低かった。これらのことはP当量区と無P区の地上部,地下部の形態的特性の明瞭な相違,および花芽の形成状態と関係が深いように考察された。(9)根部を2つに分岐した苗木を供試し,片側ずつ別々にP当量,無P,N常量,無Nを組合せた処理を設けた試験では,チッソとリン酸が共存した場合だけ地上部,地下部の発育が良好で,片側ずつ別々に施した場合は著しく劣った。また,チッソとリン酸が共存する場合に限り,毛細根の著しい発達がみとめられ,チッソかリン酸の一方のみの施用では根の発育が極めて悪かった。根部の分析結果ではとくに毛細根においてNおよびP成分が,施用側で顕著に増加した。以上のことは貯蔵P成分を殆んど持たない実生樹では,根端が接する部分の土壌に,利用され易いリン酸が多量に存在することが,細根の形成や根群の発達にとくに必要であることを示すものである。(10)土壌中の変化としてP当量区では有効態リン酸および水溶性リン酸の顕著な増加,リン酸吸収係数の低下,可溶性アルミニウムの減少など,多くの特徴ある変化がみとめられた。P常量区では極めてわずかしか変化がみとめられず,生育の促進その他に対する効果が少なかったことと一致している。P多施区では,表土区の場合,可溶性アルミニウムはP当量区と同程度に減少したが,有効態リン酸の増加はP当量区にはるかに及ばず,水溶性リン酸の増加も極めて少なかった。心土区の場合は極めてわずかしか変化がみられなかった。4. 河成沖積層の土壌についてリン酸(リン酸1石灰)の多施効果を検討したところ,原土が有効態リン酸にとみ,可溶性アルミニウムが少い土壌にもかかわらず,なお多量のリン酸施肥によって生育が著しく促進された。このことから前述のように若令の場合は,異常に多量の有効態リン酸が存在する必要があることが裏付けられる。
索引語リン酸;P当量区;P区;細根;増加;影響;肥効;効果;このこ;有効態リン酸
引用文献数19
登録日2015年08月19日
収録データベースJASI, AGROLib

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